再生医療の豆知識

乳歯は取っておくと得?再生医療に使える可能性も

2019年01月07日

小さいお子様をお持ちの方のなかには、子どもの抜けた歯をどうしようか考えている人もいるのではないでしょうか?昔から、子どもの乳歯は上の歯なら縁の下に、下の歯なら屋根の上に投げるという習わしがあります。近年では、子どもの成長の思い出品として、専用の保存容器で取っている家庭も多くみられます。
実は、最近の医療業界で話題になっているのが、乳歯を使った再生医療です。この記事では、乳歯が再生医療にどのように役立つのかをご紹介します。

乳歯が将来の再生医療に役立つ可能性

乳歯が将来の再生医療に役立つ可能性
再生医療は、特定に細胞に分化する細胞を取り出して培養し、再び患者さんの身体に移植したり、細胞の修復を図ったりする治療法です。これまで治療が困難とされていた病気も、再生医療を用いることで、治療の選択が広がる可能性があります。再生医療は、医療分野の新しい治療法として注目されており、研究が進められています。
再生医療の要となるのが、「幹細胞」です。幹細胞は、細胞や器官の元となったり、壊れた細胞の修復を促進したりするもので、簡単に言えば“細胞のタネ“ともいえます。ヒトの身体から幹細胞を取り出す方法にはいくつかありますが、近年注目されているのが、乳歯から取り出す幹細胞です。

乳歯から幹細胞を取りだすとは?

再生医療に役立つ乳歯の部分が、歯髄です。歯髄は、歯の中心部にある血管や神経が集まる柔らかい組織のことをいいます。乳歯の歯髄には、幹細胞があり、特に、骨や血管、心臓の筋肉などに分化する「間葉系幹細胞」が豊富に含まれています。幹細胞にはいくつかの系列があり、種類ごとに分化できる細胞も決まっています。一方では、近年では、乳歯の歯髄の幹細胞から、間葉系とは異なる肝細胞を分化させる研究も行われています。このように、乳歯から取り出す幹細胞には、再生医療において多くの可能性を秘めているといえるでしょう。

乳歯から幹細胞を取り出すメリット

乳歯から幹細胞を取り出すのに、不思議に思う方もいるでしょう。実は、乳歯から幹細胞を取り出すには、いくつかのメリットがあります。ひとつは、幹細胞の採取が容易であることです。これまで再生医療に用いられる幹細胞は、骨の内部にある「骨髄」や、赤ちゃんのへその緒から採れる「臍帯血」を利用することがほとんどでした。
たとえば、幹細胞を取り出す方法として、骨髄から採取する方法では、ドナーの方に全身麻酔をかけて処理をする必要があり、負担がかかるものです。また、臍帯血は出産時のみに限って採取できるものです。また、臍帯血を取り出すのは、指定の医療機関に限られています。

一方、乳歯から幹細胞を取り出す方法は、抜けた乳歯を利用するので、ドナーとなる方に負担がかかることはありません。乳歯から幹細胞を取り出す時期については、歯の生え変わり期間に限定されますが、その機会は臍帯血の採取よりもずっと多いといえるでしょう。

乳歯から幹細胞を取り出すメリットとして、もう1つ挙げられるのが、取り扱いが比較的容易であるこです。乳歯は永久歯よりも柔らかい性質があるものの、歯髄が象牙質によってしっかりガードされています。そのため、幹細胞を採取するときに、歯髄を傷つけることがほとんどありません。

永久歯を保存することもできるのか?

乳歯が将来の再生医療に役立つ可能性があるのなら、永久歯も使えるのでは…?と考える人も多いでしょう。永久歯からも幹細胞の採取は可能ですが、培養の成功率が乳歯のものよりも低くなります。若い葉である乳歯の方が、永久歯よりも分化しやすい幹細胞が含まれているためです。また、大人になってから生える親知らずも、再生医療に適した幹細胞が含まれていることが分かっています。

再生医療に備えた乳歯の保存方法は?

再生医療に備えた乳歯の保存方法は?
将来の再生医療のために、乳歯の保存を検討しているのなら、専門の機関で保存する必要がります。歯の保存を行っているのは、「歯髄細胞バンク」です。将来の再生医療に備えて、乳歯の保存を希望するのなら、有料で歯を預けることができます。
また、乳歯の保存は、寄付という形で無料にて提供することもできます。家族が受ける再生医療ではなく、現在行われている再生医療の研究などに使われます。今後、乳歯を使った再生医療が治療法として確立されれば、献血のように乳歯を提供することもできるでしょう。
ただし、歯髄細胞バンクでの歯の保存は、年齢制限が設けられています。これは、永久歯よりも乳歯の方が幹細胞の質がよいように、年齢が若いほど再生医療に適しているためです。再生医療のために、自分の歯を保存したり、提供を希望したりする場合は、若い世代の歯になることを覚えておきましょう。

まとめ

近年、新しい治療法として注目されている再生医療ですが、乳歯や親知らずなど、身近な歯が治療に役立つことがあります。再生医療を用いた治療法の多くは、研究段階のものが多いのが現状です。将来の治療の選択肢のひとつとして、自分の歯の保存を検討してみるのもよいでしょう。


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