再生医療の豆知識

全頭、全身の毛が抜ける汎発性円形脱毛症は再生医療での改善は夢の話?

2019年01月19日

連想ゲームで円形脱毛症の言葉が発せられると、ほとんどの人がストレスといいます。
しかし、近年、医学が進み、ストレス説以上に自己免疫疾患説が有力とわかってきました。
だからといって、ストレス説を全否定しているわけではありません。

円形脱毛症というとコイン状のハゲが数個できる程度で軽い脱毛症のように考えられていますが、重症化すると、頭全体、さらには全身の(もちろん、眉毛などの小さな毛も)毛が抜けてしまいます。全身の毛が抜け落ちる場合を汎発性円形脱毛症といいます。
ここまで進行すると、治すことが非常に難しくなります。見た目のこともあり、精神的にも疲弊しきってしまうことも。

円形脱毛症の初期は非常に治りやすいといわれていても重症化して、汎発性円形脱毛症レベルになると、ガイドラインに掲載されている治療法でも完治が難しいことがあります。

そこで考えたいのが再生医療。
頭全体がすっかり脱毛してしまう重症の円形脱毛症は、再生医療による治療で改善できるのでしょうか?
円形脱毛症の成り立ちから考えてみたいと思います。

円形脱毛症の原因がストレス説よりも自己免疫異常説だといわれているのは?

円形脱毛症の原因がストレス説よりも自己免疫異常説だといわれているのは?
ストレス説が全否定されたわけではありません。強いストレスが自律神経を乱してホルモンのバランスを狂わせる、あるいは元々、自己免疫異常を潜在的にもった人が強いストレスをきっかけに発症することはあるといわれています。

では、なぜ、自己免疫異常が円形脱毛症を発症させるのでしょうか?

自分のリンパ球が自分の毛包を破壊する

外敵が侵入してきたら攻撃して外敵から受ける衝撃を消そうとする免疫というシステムが、私たちの体には備わっています。
ところが、あらゆる原因で免疫システムが狂って、外敵ではないのに、自分自身のものと闘ってしまうことがあります。自己免疫異常というのですが、リウマチというよくある病気がその代表例です。

円形脱毛症が自己免疫異常の結果といわれてしまうのは、免疫システムの重要な要である自分のリンパ球が自分の毛包なのに攻撃してしまった痕跡が円形脱毛症を発症した人の遺伝子から発見されるというところにあります。

円形脱毛症を発症した毛はどうやって抜ける?

毛(髪)は生えてから自然に抜けるまでをヘアサイクル(毛周期)といいます。ヘアサイクルは成長期、退行期、休止期を経て、下から新しい毛が押し出してくることによって、前の毛が抜け、再び、新しい毛のヘアサイクルが再開します。
これが正常なヘアサイクルです。

ところが、円形脱毛症の場合、成長期に入った毛の頭皮下にある毛包という発毛するための細胞などがギッシリ詰まった部分を自分のリンパ球が攻撃します。
攻撃を受けた毛包は成長ができず、委縮してしまい、早々と休止期に向かい、脱毛します。
毛包がダメージを受けたため、下から押し上げてくる毛もないということです。
ただ、なぜ、自己免疫異常をおこすのかはまだよくわかっていないようです。

脱毛部位が狭い、発症して日が浅いなどであれば自然治癒もありますが、広範囲になると、治療法も複雑になります。

次は、重症の円形脱毛症には局所麻酔療法とかステロイド内服といった治療法がありますが、再生医療は重症の円形脱毛症の治療に関わることができるのかを考えてみます。
まだまだ未完成な部分が多く、近未来型治療になるかもしれませんが、重症の円形脱毛症に悩む人たちに明るい未来を感じさせるような情報を提供いたします。

重症の円形脱毛症でも幹細胞は死んでいない

重症の円形脱毛症でも幹細胞は死んでいない
前述のように自分のリンパ球が毛包を攻撃(炎症発生)しますが、発毛の根源である幹細胞はしっかりと生き続けています。
ちなみに瘢痕性脱毛症という病気は幹細胞に強いダメージを与え、破壊するため、幹細胞は死んでしまいます。

毛を造る根源となる幹細胞がバルジという領域にあるとわかって以来、毛髪の再生医療は急速に進みました。
→バルジ領域についてはこちら

重症の円形脱毛症でも瘢痕性脱毛症と違い、幹細胞は死んでいないのですから毛包を再生することは可能です。
発毛に必要な要素がつまった毛包がリンパ球によって攻撃を受けると、当然、毛母細胞も機能しなくなります。しかし、幹細胞は正常に依然として働いているため、幹細胞で毛包を再生するなど、治療のやり方次第で改善の見込みはあるわけです。

では、幹細胞が死滅した瘢痕性脱毛症は治療法がないのかといえば、理論的にips細胞の活用が有効といわれ、将来の治療法として期待されています。

※瘢痕性脱毛症:皮膚に瘢痕ができ、脱毛をおこす。膠原病の一種である強皮症、重症の火傷や外傷などが原因。皮膚が瘢痕化という強いダメージを受けると、毛包にある幹細胞が破壊され、毛が生えてこなくなる病気

まとめ

いかがでしたか?
軽症の円形脱毛症は自然治癒もありえるほど治りやすいのに、進行すると完治が難しくなることがあります。
しかし、重症化しても再生医療を施すのに必要な幹細胞は生き続けています。
幹細胞が生き続けているということは他の治療法は無効でも再生医療の観点から考えれば、改善の期待ができるということです。
もう生えることはないといわれる瘢痕性脱毛症もips細胞の登場で生えてくるかもしれません。
これからの再生医療が本当に楽しみですね。


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