再生医療の豆知識

今さら聞けない!ES細胞とiPS細胞の違いは?

2019年01月25日

近年、一般の方でも再生医療に関するニュースですが、なかでもよく耳にするのが、ES細胞やiPS細胞です。ES細胞やiPS細胞については、なんとなくスゴイというイメージはあるものの、実際にどのようなものか知らない人も多いのではないでしょうか?この記事では、再生医療でも取り上げられることの多いES細胞やiPS細胞の特徴やその違いについて紹介します。

ES細胞とはどのようなもの?

ES細胞とはどのようなもの?
ES細胞は、さまざまな細胞に分化することができる細胞です。通常、ある1つの細胞は、特定の細胞にのみ分化できるという特徴を持っています。一方、ES細胞は、あらゆる細胞に分化でき、なおかつ無限に増殖できるという特徴を持っています。ES細胞を使えば、特定の細胞や器官の修復をできる可能性があることから、再生医療分野で大きな注目を集めているのです。

ES細胞はどのようにして作られる?

あらゆる細胞に分化できるという万能さを持つES細胞ですが、どのようにして作られるのか気になる人もいるでしょう、ES細胞は、生命の源である受精卵を用いて作られます。受精卵は精子と卵子が結合することでできますが、ES細胞は受精卵が発育した「胚」を加工して作られます。ES細胞を作るための具体的な方法は、受精から1週間程度経った胚の一部を取り出し、特殊な環境のもとで培養することで作られます。

ES細胞の問題点

ES細胞を作るためには、ひとつの生命となる胚を犠牲にしなければならず、倫理的側面から検討が行われています。特に、欧米をはじめとするキリスト教を中心としている国々では、ES細胞の作成は問題があるという意見も上がっています。一方、日本ではどうかというと、宗教的な観点からのES細胞の取り扱いに大きな反対の声が上がっているわけではありません。しかしながら、受精卵を犠牲にしなければいけないES細胞の作成は、国内でも慎重な議論をすることが求められるものです。

このような状況下で、日本のES細胞は、不妊治療で使用しなかった分の胚や人工妊娠中絶で採取された胚などが、研究に使用されています。また、ES細胞の研究場所も国内で限定して行われています。

iPS細胞とはどのようなもの?

ES細胞と並んでよく耳にするのがiPS細胞です、iPS細胞もES細胞と同じように、さまざまな細胞に分化する能力と、無限に増殖する能力を持つ細胞です。ES細胞はとiPS細胞は互いにどのような違いがあるかというと、作成方法が大きく異なります。ES細胞は、前述したように、受精卵の胚を用いて作られます。一方、iPS細胞は、体の皮膚細胞などから、特定の因子を追加して、遺伝子の再プログラミングします。iPS細胞による再生医療を行う場合、iPS細胞の作成そのものは、自分の細胞を使うことができます。そのため、受精卵の犠牲が必要であるES細胞にかかわる、倫理的な問題はクリアしているといえるでしょう。
また、自分の細胞から作り出すことのできるiPS細胞は、移植時に拒絶反応を起こしにくいといえます。

iPS細胞の問題点は?

ES細胞よりも比較的扱いが容易と考えられているiPS細胞ですが、問題点がないわけではありません。移植したiPS細胞が腫瘍化する可能性があるといわれています。もともと細胞は遺伝子によってプログラミングされており、腫瘍はプログラムに異常をきたすことで起こると考えられています。iPS細胞の作成時には、遺伝子を傷つけてしまうリスクがあるため、再生治療でiPS細胞を使うことで、移植したiPS細胞が腫瘍のようになってしまうのではないかと危惧されています。
そのほかにも、移植したiPS細胞が特定の細胞に分化しなかった場合、腫瘍化する可能性があることも指摘されています。
最近では、iPS細胞の作製するときの因子を腫瘍化しにくいものにしたり、未分化の細胞にならないように選別する方法などが開発されています。iPS細胞を使った治療が確立されるには、きちんと安全性が確保されているうえで、行われる必要があるといえます。

再生医療においてES細胞とiPS細胞が果たす役割

再生医療においてES細胞とiPS細胞が果たす役割
さまざま細胞に分化できるES細胞とiPS細胞は、特定の組織や器官に再生する可能性を秘めています。現時点では、ES細胞やiPS細胞で臓器を再生する試みがされている段階であり、実際の治療として取り入れられるのは、もう少し先の未来になるでしょう。一方で、ES細胞やiPS細胞による再生治療が確立されれば、これまで治療が難しかった病気の治癒の可能性も期待できます。また、ES細胞やiPS細胞を用いた再生医療の安全性の確保や、医療倫理の問題など、解決すべき事項がいくつかあります。再生医療による明るい未来を据えて、私たち一人ひとりがES細胞やiPS細胞のニュースに、関心を持つことはとても大切だといえるでしょう。


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