再生医療の豆知識

毛髪再生医療とプロペシア・ザガーロやリアップを比較してみると?

2018年11月28日

近年、再生医療が色々な診療科目で話題になっていますね。皮膚科に属するAGAも同様です。AGAについて、確かにプロペシアやリアップの登場はセンセーショナルでしたが、それまではAGAの薬は市場に出ても効かないと言われ続けていました。ところが、プロペシアやリアップの登場で効果のない薬から効果ある薬として随分、話題になりました。
そこで、これからプロペシアやリアップについて検討し、毛髪の再生医療と比較してみたいと考えています。

プロペシアはどうやってAGAを治療するの?

プロペシア錠剤
プロペシアが日本で発売されてかなり経ちました。
最近は薬価の安いジェネリック(後発品)がたくさん登場しているため、プロペシア(先発品)という品名よりはフィナステリド(一般名)という成分名のほうがよく知られているかもしれませんね。

フィナステリド(プロペシア)の作用機序

脱毛症と一口で言っても色々な脱毛症があります。AGAの場合は前頭部と頭頂部に限定されています。中年までの年齢で頭全体が抜けていれば、その原因は他の脱毛症の可能性が大きいと考えていいでしょう。
フィナステリドはAGA治療に有効な薬です。
AGAは男性に圧倒歴に多い点からもわかるように男性ホルモンの影響を受けます。
毛乳頭細胞内で、テストステロンという男性ホルモンが5α-リダクターゼⅡ型の作用でDHT(ジヒドロテストステロン)に変わります。
DHTに変わっただけでは抜け毛はおきません。男性ホルモン受容体に結合することで抜け毛が始まり、AGAが発症します。
前頭部や頭頂部の髪が抜けるのは、男性ホルモン受容体がその部分に多いからです。抜けにくい後頭部には男性ホルモン受容体がありません。

フィナステリドは5α-リダクターゼⅡ型の作用を抑える

5α-リダクターゼは1型とⅡ型のタイプがあります。I型は色々な部位に存在しますが、Ⅱ型は精嚢や前立腺、前頭部や頭頂部、ヒゲの部位に存在しています。
フィナステリドはⅡ型の酵素をブロックします。そのため、DHTが生成されなくなり、男性ホルモン受容体に結合するDHTの量を減らすことができます。
その結果、理論上、抜け毛を抑えることができます。理論上とわざわざ記載したのは、AGAは非常に個人差が強い疾患で、フィナステリドの効果もそれぞれだからです。

フィナステリドの問題点

DHTはAGAにとってはいらぬホルモンですが、男子胎児生殖器の発育に関わる重要なホルモンです。
そのため、妊娠した、あるいは妊娠の可能性のある女性はフィナステリドを服用できません。また、経皮吸収(肌に触れて、肌から体内に吸収)も考えられるため、触れることもできません。
プロペシアやそれのジェネリックの錠剤はコーテイングされているため、破砕しない限りは中のフィナステリドに触れることはありませんが、砕けた欠片にはフィナステリドが露出されてしまうので、要注意です。
女性にもAGAはありますが、上記の理由でプロペシアを使用することはできません。

また、数は多くありませんが、フィナステリドを中止しても男性性機能低下やうつ症状が続くことがあります。これをPFS(ポストフィナステリド症候群)といいます。これは市販されるまでは考えられていなかったことで、市販後の調査でわかりました。
発売当時の添付文書には、上記の副作用の掲載はありませんでした。
厚生労働省もあまり重要視していませんでした。しかし、海外からの報告などもあり、厚生労働省は添付文書に追記するよう先発品やジェネリック販売の会社に通達しました。
現在の添付文書には、「使用上の注意・3副作用」の下段のほうに追記されています。

参照URL:プロペシア添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/249900XF1021_2_08/

ザガーロはどうやってAGAを治療するの?

ザガーロの成分はデュタステリド。日本でもアボルブという前立腺肥大の治療薬としてすでに市場にでていましたが、AGAの治療薬としては認可されていませんでした、
後年、日本でもデュタステリドがAGAに効果あるやっと認可され、ザガーロという品名で発売されたわけですが、プロペシアと少し、作用機序が異なります。

デュタステリドは1型とⅡ型、両方の作用を抑える

先に紹介したフィナステリドはⅡ型のみを抑えるということでしたが、ザガーロのデュタステリドは1型と2型の作用を抑えます。
AGAに強く関係するのはⅡ型ですが、少しでもDHTが減少すれば、抜け毛を予防することが可能です。デュタステリド(ザガーロ)の臨床試験でもフィナステリド以上の効果が出たと報告されています。
ただ、その分、フィナステリド以上に副作用を回避する努力を必要とします。

参照URL:ザガーロ添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/249900AM1023_1_05/

リアップはどうやってAGAを治療するの?

薄毛を気にする外国人男性
リアップの成分はミノキシジル。ミノキシジルは血管拡張作用があり、アメリカでは血圧降下剤として認可されていました(日本は非認可)。
ミノキシジルを飲む患者さんの中に副作用の多毛症が見つかり、この働きを利用して薄毛、抜け毛の治療のリアップが開発されました。

ミノキシジルには大きく分けて、二つのAGA治療効果があります。
一つは血管拡張作用ですが、血流をよくすることで薄毛や抜け毛を改善します。
もう一方は、こちらがAGA治療に直につながる作用ですが、ミノキシジルは毛包に働きかけて薄毛を改善することがわかっています。
髪には生えてから自然に抜けるまで成長期、退行期、休止期、再び、成長期といったヘアサイクルを常に繰り返しています。
この髪の一生の間、DHTの影響で髪の元である毛包のミニチュア化が起き、髪は生えにくくなり、生えても軟毛のような細い毛しか生えてこなくなります。
ミノキシジルは小さくなってしまった毛包を大きくさせ、勢いよく発毛、太い髪に成長させる働きがあります。

ミノキシジルの問題点

リアップ発売当初、リアップ使用者が心血管系疾患で死亡した例があります。
しかし、大正製薬はその消費者に元々、心血管系疾患の既往歴があったということで、ミノキシジルとの因果関係はないとしています。
また、現在もリアップが市場に出続けていることからも察することができますが、厚生労働省も大正製薬の見解に同調したということになります。
とはいえ、安全性に配慮してミノキシジルの濃度は薄めてあるものの、血圧降下剤という血管に作用する薬なので、他の医薬品とは別格の扱い(第一類医薬品)で注意を促しています。

※第一類医薬品:薬局やドラッグストアなどで買える一般医薬品の中で特に副作用などについて注意を必要とする医薬品のこと。購入時、薬剤師による文書などの情報提供を受けなければいけない

参照URLミノキシジルの作用と効果データ:
https://brand.taisho.co.jp/riup/minoxidil/

参照URL:大正製薬「リアップX5プラスの発毛効果データ」
https://brand.taisho.co.jp/riup/riupx5/data/

毛髪の再生医療活用のAGA治療と比較して

飲むAGA治療(プロペシアなど)も再生医療によるAGA治療、どちらも自由診療であるため、100%自己負担です。
また、再生医療の場合、かかる治療費が高いということでいつも話題になります。しかし、よく考えてみると、飲み続けなければ、髪は元に戻るため、治療期間の長さによっては、全治療費がHARG療法の治療費を超えることがあるかもしれません。

また、女性は前述のようにプロペシアでの治療を受けることができません。リアップの女性の使用は、男性が5%の薬液に対して女性は1%の薬液となります。
薬によるAGA治療は性差があり、特に女性は満足に治療することができません。
再生医療には性差がありません。女性も十分に治療を受けることができます。

だからと言って再生医療が全てにおいていいというわけではありません。
まだ新しい領域の治療だけに、これからもしっかりと厚生労働省などの動向を見ていく必要があります。
互いのメリットを活かして薬と再生医療を併用するクリニックも多いですね。

まとめ

再生医療がいいか、薬による治療がいいか、人それぞれです。
人が違えば、治療法も違う、AGA治療も他の疾患の治療と同じです。
その上、自分の体質や抱えている疾患などでも治療法の選択基準は異なります。
再生医療やプロペシアなどでは医師と、リアップでは薬剤師ととことん話し合って治療法を決める必要があります。
特にリアップの場合、相談内容によっては医療機関の受診をすすめることになるかもしれません。
とにかく、個人輸入などで薬剤を入手し、素人判断で使用するのが一番、危ない治療であることを知っておきましょう。


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