再生医療の豆知識

骨髄移植は先駆けだった!造血幹細胞移植と再生医療について

2019年02月07日

ときどきニュースでも見かける再生医療のお話。再生医療というと、新しい治療法のイメージがありますが、昔から血液疾患の治療法として確立している治療法であることをご存知の方は少ないのではないでしょうか。この記事では、再生医療における血液の病気における再生医療を用いた治療法を紹介します。

再生医療とはどんな治療法か?

再生医療とはどんな治療法か?
再生医療は機能が失われた組織や器官を修復する治療法です。器官の修復というと、再生医療の技術を用いて、人間の臓器を再生するというイメージを抱く人もいるでしょう。実際に、このような治療法を実現するために、世界中で研究が行われていますが、実際に行われているものではありません。
現在の再生医療で行われているのが、さまざまな細胞に分化する「幹細胞」という細胞を用いる方法です。ときどきニュースなどで耳にする「ES細胞」や「iPS細胞」も、実は再生医療とかかわりのある幹細胞です。

血液の病気と再生医療

新しい治療法のイメージがある再生医療ですが、以前から血液の病気には再生医療の技術が用いられていました。再生医療を用いている血液の病気の治療法が、骨髄移植です。骨髄移植は、ドナーの造血幹細胞を移植する方法で、白血病など血液のがんに用いられる治療法です。

造血幹細胞と骨髄移植

造血幹細胞とは、血液の成分である赤血球や白血球の元となる細胞です。血液のがんで行われる骨髄移植は、造血幹細胞を含むドナーの骨髄液を点滴によって投与します。骨髄移植の具体的な流れは、次のようになります。
1. 最初に抗がん剤や放射線治療により、病気の原因となる血液のがんを破壊して、骨髄の中を空の状態にする。
2. 骨髄にドナーの造血幹細胞を移植して、骨髄の機能を回復させる。

骨髄移植は、機能の失われた器官の回復を行う点で、広い意味で再生医療といえるでしょう。

骨髄移植で用いられる造血幹細胞

骨髄移植で用いられる造血幹細胞
再生医療で細胞の移植する場合は、自分の細胞を使う「自家移植」と、他人の細胞を使う「他家移植」があります。骨髄移植はドナーから採取した骨髄液を移植する他家移植となります。ドナーから骨髄移植を採取する方法は、安全に行われているものの、やはりご本人の負担がかかるものです。
具体的には、ドナーから骨髄液を採取するには、全身麻酔をかけて行われます。骨髄を採取するための手術時間は1時間半程度と決して長い時間を要するものではありません。一方で、採取する骨髄液は500~1000mlにもなるため、穿刺が数十回に及ぶこともあります。このことを考えると、骨髄移植のための骨髄穿刺は、ドナーにも負担がかかるものといえるでしょう。

造血幹細胞移植には赤ちゃんの臍帯血が使える?

血液のがんなどの治療で、骨髄移植とは別の方法で造血幹細胞を移植する方法がさい帯血を用いる方法です。さい帯血は、赤ちゃんが生まれるときにへその緒から採ることのできる血液です。さい帯血には、血液の元となる造血幹細胞が豊富に含まれており、再生医療分野を中心に注目を集めています。一方で、さい帯血を採取できるのが出産時に限られていることや、1回に採取できる量が少ないというデメリットがあります。

造血幹細胞移植で注意すべきこと

白血病など血液のがんの治療で行われている造血幹細胞の移植ですが、骨髄移植にしろ、さい帯血移植にしろ、移植を行う患者さんの身体の中で定着して、新たに血液を作り出す必要があります。これに対して、移植した造血幹細胞が定着せずに、患者さんの免疫機能により異物として判断されることがあります。移植した造血幹細胞が異物と判断されると、体内の免疫細胞によって排除される作用である「拒絶反応」が起こります。
造血幹細胞にしろ、細胞や臓器の移植によって起こる拒絶反応は、患者さん自身の命を脅かしてしまうことがあります。骨髄移植やさい帯血移植による造血幹細胞の移植では、あらかじめ患者さんとドナーの細胞の型が合うかの確認がされます。一方で、患者さんに合う型を持つ造血幹細胞を選びやすくするためにも、より多くのドナーの血液があることが重要といえるのです。

再生医療の発展で期待できるもの

再生医療の先駆けとなる造血幹細胞の移植ですが、再生医療のさらなる発展によってドナーの血液を集めることが期待されています。それは、造血幹細胞を大量に培養するという試みによるものです。血液のがんなどの治療で用いられる造血幹細胞移植の歴史は50年ほどになりますが、未だに人間の身体の外で培養することに成功していません。
今後、再生医療の発展にともなって、造血幹細胞を大量に培養することに成功すれば、患者さんに大きなメリットをもたらすことでしょう。また、現段階で造血幹細胞の移植は、血液のがんなど特定の病気に限られて行われています。もし、造血幹細胞の大量に培養に成功すれば、そのほかの症状の治療にも活用できることが期待できるかもしれません。


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