再生医療の豆知識

保険適用も間近?再生医療によるパーキンソン病の治療について

2019年02月22日

根治が難しいとされるパーキンソン病ですが、再生治療を用いた治験が始まっています。この記事では、パーキンソン病の特徴や現時点で行われている治療、そして再生医療による治療について紹介します。

パーキンソン病はどんな病気?

パーキンソン病はどんな病気?
パーキンソン病は脳の内部にある「中脳」の中の「黒質」と呼ばれる部分に異常なたんぱく質が増えて、ドパミンという神経細胞が少なくなることで起こる病気です。パーキンソン病には特徴的な症状があり、代表的な症状には次のものがあります。
・じっとしているときに手足がふるえる(安静時振戦)
・筋肉の動きがこわばる(筋強剛)
・動きが鈍くなる(無動)
・姿勢が傾きやすくなる(姿勢障害)

パーキンソン病の特徴的な症状である運動障害ですが、そのほかにも精神症状など多彩な症状がみられます。

パーキンソン病の治療について

パーキンソン病の進行を止めるための治療法は確立されておらず、症状をコントロールするための対症療法が行われています。現在行われているパーキンソン病の治療は、大きく分けて次の2つのものがあります。

薬物療法

薬の内服による、パーキンソン病によって減少したドパミンを補充する治療法です。適切な治療が行われれば、パーキンソン病による運動の症状の改善に役立ちます。

手術療法

パーキンソン病の手術療法では、手術で脳に電極を入れて刺激を与えることで、病気の症状の改善を図ります。手術療法による治療効果には個人差があります。

パーキンソン病とその予後について

パーキンソン病の症状は10~20年とゆっくりと進行していく病気です。また、予後についても誤嚥性肺炎や脱水などが起こらなければ、平均余命より数年程度短くなるのみです。そのため、パーキンソン病になってからも、10年程度はふつうに生活ができることがほとんどです。その一方で、パーキンソン病になってから十数年経過すると、日常生活が一人で行えずに、見守りや介助が必要となるケースが多くなります。特に、パーキンソン病で寝たきりになると、療養中の管理によって予後が大きく変わります。

パーキンソン病患者さんの未来を変える再生医療とは

パーキンソン病患者さんの未来を変える再生医療とは
パーキンソン病は、必ずしも命に大きくかかわる病気ではありません。しかしながら、発病から年数が経つにつれて、日常生活動作が自分でできなくなり、周囲の人の介助が必要になることがしばしばでした。また、パーキンソン病によって寝たきりになると、家族などの介護負担がかかるものです。
ここで近年、再生医療を用いたパーキンソン病患者さんの治療の試みがなされています。

再生医療とは、簡単に説明すれば機能の失われた組織や器官の再生を図る治療法のことです。再生医療の技術を用いることで、これまで根治が困難だった病気の治療ができるとして期待がされています。

パーキンソン病における再生医療の内容

再生医療を用いたパーキンソン病の治療では、病気で減少しやすいドパミン神経の移植が行われます。再生医療によるパーキンソン病の治療では、iPS細胞から再生したドパミン神経の元となる細胞を使用します。パーキンソン病患者さんの脳に、ドパミン神経の元となる細胞を移植することで、ドパミン神経が患者さんの脳内で定着して、病気の症状の改善を目指します。

再生医療に関するニュースでもよく見かけるiPS細胞ですが、よく知らないという人もいるでしょう。iPS細胞は、皮膚や脂肪などの細胞を採取して、特定の遺伝子を導入して作製する細胞です。iPS細胞は、細胞の元となる「幹細胞」の一種であり、さまざまな組織を再生する可能性を秘めています。

一方で、iPS細胞から作製したドパミン神経の元となる細胞を移植しても、パーキンソン病の原因である異常なたんぱく質の増殖を防ぐことができません。そのため、iPS細胞を用いたパーキンソン病の治療は、病気の原因そのものを解決するものではないといえます。しかしながら、再生医療を用いたパーキンソン病の治療法が確立されることで、患者さんや家族の治療の選択肢を広げることができます。パーキンソン病のさまざまな治療法をうまく組み合わせることで、患者さんの症状のコントロールもしやすくなるといえるでしょう。

なお、iPS細胞によるパーキンソン病の治療は、まだ治験段階ですが、数年内に保険適用される可能性が高いという専門家います。また、パーキンソン病のメカニズムが明らかになることで、根本的な治療が可能になる未来もゼロではありません。

まとめ

脳の慢性疾患であるパーキンソン病は、命に大きくかかわりのある病気ではありません。パーキンソン病そのものは、症状がゆっくりと進行していくので、時間の経過とともに患者さんや家族の生活に大きく影響を与えるものです。一方で、パーキンソン病の治療法は、原因を根本的に解決するものがなく、対症療法が主に行われています。現在、iPS細胞など再生医療を用いたパーキンソン病の治療は治験段階になります。しかし、今後再生医療を用いたパーキンソン病の治療の効果や安全性が保証されれば、治療の選択肢がさらに広がりをみせるといえるでしょう。


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