再生医療の豆知識

再生医療が薄毛治療にも応用される?

2018年11月04日

男性の脱毛タイプでもよくみられるのがAGA(男性型脱毛)。男性の皆さんのなかには、AGAなどの薄毛に悩んでいる人も多いのではないでしょうか?実は、近年、AGAの治療のひとつとして再生医療が注目されています。この記事では、AGAや再生医療を用いた治療法を中心に紹介します。

そもそもAGAとはどんなものか?

そもそもAGAとはどんなものか?
AGAは男性型脱毛ともいわれているように、男性にみられる薄毛のひとつです。AGAの発症に深く関わっているのが、男性ホルモンです。男らしさにかかわる男性ホルモンですが、頭皮である酵素の作用を受けると、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という物質に変わります。この物質が毛根の細胞に影響を与えると、髪の毛の成長サイクルが通常よりも短くなり、薄毛が目立つにようになります。

なお、AGAは男性ホルモンの分泌が活発になる成人以降にみられる脱毛症です。AGAになるかどうかは、遺伝による体質によって決まります。

AGAの治療法にはどんなものがある?

AGAの治療といえば、薬や植毛手術などが主流となっています。AGAの治療薬として最もポピュラーなのが、男性ホルモンの働きを抑える飲み薬や、頭皮の血行を促す塗り薬です。

もともとこれらの薬は前立腺肥大症や高血圧の薬として使われていたもので、副作用として増毛がみられたことから、AGAの治療薬として使われるようになりました。しかしながら、AGA薬もそのほかの薬と同じように、副作用の可能性がゼロとはいえません。

また、もうひとつのAGA治療法である植毛手術は、髪のある部分の毛根を採取した後、薄毛のある部分に移す手術が行われます。最近の植毛手術は医療用ロボットによって行われるケースも増えており、精密性が増しています。しかしながら、毛根の移植は1本1本行われるので、患者さんの負担は大きい治療法といえるでしょう。

AGAで期待されている再生医療

一般的によく使われているAGA治療薬ですが、効果は比較的ゆるやかなものであり、効果を維持するためにも、薬を使い続ける必要があります。また、もう1つの治療法である植毛治療も薄毛のある部分に毛根を移すという、引っ越しのようなもので、毛根全体の数が増えるわけではなく、あくまで脱毛部位をまばらするものです。

このように、効果に限界がある既存のAGA治療ですが、近年新しい治療法として期待が集まっているのが再生医療です。

再生医療とは、体の細胞や組織の元となる細胞(「幹細胞)といいます)を取り出して、培養して再び体へ戻す治療法です。再生医療の多くは、自分の細胞を使うため、適切な管理がされていれば安全性が高い治療法です。

最近、再生医療を取り入れたAGA治療として注目されているのが、毛包の幹細胞の移植です。毛包は一般的には毛根を指すものですが、毛の成長や再生に関わる細胞が集まる重要な部分です。AGAの再生医療では、毛包の元となる幹細胞を取り出し、培養したものを移植して、髪の毛の再生を促します。

再生医療の毛包の移植と、これまで植毛手術で大きく異なるのが移植できる数です。一般に、植毛手術では髪の総数を増やすことはできません。一方、再生医療を使った毛包の移植では、幹細胞から多数の毛包の元を培養することで、髪の毛の総量を増やすことができます。

すでにマウスの実験では、毛包の元となる幹細胞の移植により、毛のない部分に発毛を確認しています。今後は、ヒトでの臨床研究が進められて、2020年を目途にAGA治療のひとつとして実用化されることが期待されています。

そのほかの薄毛の再生医療

そのほかの薄毛の再生医療
再生医療というと、細胞の元である幹細胞を培養して移殖する方法がありますが、最近では、細胞の成長を促すタンパク質を利用した方法も行われています。幹細胞の移植による薄毛治療は実用化に向けて後一歩という段階。しかし、クリニックを中心に治療のひとつとして行われているのが後者の方法です。

具体的には、HARG(ハーグ)療法と呼ばれており、「成長因子」または「グロースファクター」と呼ばれる細胞の成長を促すタンパク質や、頭皮の環境を整えるアミノ酸やビタミンを配合した注射液を、頭皮に直接注入します。

HARG療法は、1か月に1回の注射を6回行います。個の治療は、保険適用とならないので全額自己負担になるため、費用が高額になる傾向があります。

まとめ

再生医療は、細胞の元となる幹細胞を培養したものを移植する治療法です。最近では、薄毛治療などさまざまな分野で再生医療の応用化が進められている分野。なお、再生医療を使った薄毛の治療は、保険適用とならないため、治療費用が高くなる傾向があります。

また、薄毛の再生治療は、まだデータが蓄積されていないため、診療ガイドラインで推奨されている治療法ではなく、あくまで選択肢のひとつとなります。学会では再生医療による効果に期待している意を示しています。今後、再生医療を使った薄毛治療が主流になる未来も、そう遠くはないといえるでしょう。


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