再生医療の豆知識

よく見る再生医療。具体的にどのような種類がある?

2019年02月04日

近年ニュースでもよく見かける再生医療。再生医療というと、組織や器官の再生を図る治療というイメージのある人もいるでしょう。今は難しく感じる再生医療のニュースですが、自分や家族が病気になったときに、治療法の選択肢のひとつとなることも。ここでは、再生医療には具体的にどんな方法があるのか、分かりやすく説明します。

そもそも再生医療とはどんな治療法なのか?

そもそも再生医療とはどんな治療法なのか?
再生医療は、病気や事故などで機能が低下したり失われたりした組織や器官を再生する治療のことをいいます。ちょっとした切り傷が、しばらくすると治っているように、生物にはもともと自然治癒力があります。一方で、脳や心臓などの特定の器官のように、一度機能が低下すると、回復できないものもあります。病気などにより、組織や器官が回復できない場合は、患者さんの治療は症状のコントロールが主体になります。このように、医療技術が急発展しているといわれる現代でも、根治が難しい病気や症状があり、患者さんやその家族の生活に大きな影響を与えるといえます。

再生医療にはどのような種類がある?

組織や器官の再生を目指す再生医療ですが、特定の臓器を再生してそれを移植するものと考える人もいるでしょう。特定の臓器を再生するという治療法は、将来の再生医療で期待できる治療法ですが、現時点では実現していません。現在、再生医療で行われている治療法には、大きく分けて次の2つがあります。

幹細胞などを移植して、特定の組織や器官の機能の回復を図る方法

細胞の修復や再生を促す幹細胞という細胞を移植することで、機能が低下した組織や器官の再生を促します。再生医療で重要となる要素が「幹細胞」です。
人間の身体には60兆もの細胞で成り立っていますが、大きく分けて「体細胞」と「幹細胞」に分けられています。体細胞は、皮膚細胞などの特定の細胞に分化した細胞のことをいいます。一方、特定の細胞に分化していない細胞が幹細胞です。幹細胞はある細胞やいろいろな細胞に分化できることで知られています。幹細胞による脳の神経細胞の再生など、脳外科分野でも治験が行われています。
また、幹細胞とは別に細胞の成長を促すたんぱく質を投与して組織や器官の修復を図る治療法も、いくつかの診療科で試みが行われています。たとえば、一例として挙げられるのが、整形分野におけるじん帯や軟骨組織の再生です。じん帯や軟骨組織の再生は、血液の血小板という物質から特殊なたんぱく質を抽出したものを投与する方法が採られています。

患者さんから幹細胞を取り出して再生させた組織を移植する

再生医療でイメージされやすいのが、特定の組織や器官を再生したものを患者さんに移植する方法です。現時点では、再生医療を用いた臓器の再生は容易なことではありません。これは、ひとつの臓器が血管や筋肉などさまざまな組織で成り立っており、臓器が立体的な構造をしているためです。一方で、現代は3Dプリンティング技術が発達しており、再生医療を用いた臓器の再生も、より現実的になっているという見方もあります。
たとえば、最近の例では、「ミニ肝臓」といわれるように普通の肝臓よりもサイズが小さめの肝臓の再生に成功したとの発表がされています。また、幹細胞を体の外で培養する場合、実際に十分な機能を発揮するためには、大量の培養が必要となります。そのため、最近ではブタなどの特定の動物の身体の中で、幹細胞を元に作った臓器を育てる研究も進められています。ただし、現在の日本では、再生医療を使って動物の体内で人間の臓器を作ることは、倫理的な観点から未だ行われていません。今後、海外などで再生医療を用いた人間の臓器の再生した報告がある可能性もあるでしょう。

再生医療のこれから

再生医療のこれから
今後、再生医療がさらに発展すれば、幹細胞を元に機能性のある組織や器官を再生して、患者さんに移植するという治療法も確立されるかもしれません。再生医療の大きなメリットが、自分の細胞を使って、組織や器官を再生する可能性があることです。今後さらに、再生医療を用いた治療法が確立されれば、自分の細胞を使って組織や器官を再生できる未来もそう遠くないでしょう。また、再生医療の技術が確立されれば、自分以外の健康な人の細胞を使って、組織などを大量に培養することも夢ではありません。再生医療というと、なにか専門的な医療ニュースのように見えますが、患者さんの治療の未来を変えるともいえるでしょう。

まとめ

再生医療は、機能が失われた組織の回復を図る治療法です。具体的には、幹細胞を移植して機能の回復を図る方法と、幹細胞から特定の組織を再生したものを移植する方法があります。現在、再生医療にまつわる研究が世界各国で行われおり、すでに実用化されている治療法もあります。再生医療を用いた治療法が確立されれば、これまで治療が困難だった患者さんへもアプローチができ、社会的にも大きな影響を与えるものです。


^