再生医療の豆知識

亜鉛はAGAを改善、予防するのか、しないのか、どっち?

2019年01月13日

亜鉛は私たちの体にほんのわずかしか入っていないのですが、生命を維持していくのに欠かすことができないミネラルです。
この優れものの亜鉛がAGA(男性脱毛症)を改善するというサイトをあちこち見かけます。逆に「改善しない」というサイトもチラホラ……。
医師の中でも意見が分かれていることがそれぞれのサイトを見るとよくわかります。
亜鉛はAGA改善に有効なのか、有効でないのかはっきりと知りたいと思いますよね。

ちなみに国の情報となる医薬健康食品の素材情報データベースによると「脱毛症の治療には、効果がないことが示唆されている(引用)」となっています。
たしかに亜鉛は直に、脱毛を予防する効果はないかもしれませんが、亜鉛の働きが脱毛を予防する土壌というか環境をつくるのではと考えることができます。

そこで、亜鉛のどんな働きが脱毛予防の環境を整えていくのかを考えてみたいと思います。

亜鉛の働き

亜鉛の働き
亜鉛は新陳代謝が盛んな部位にたくさん存在しています。
皮膚、血液、骨、肝臓、腎臓、毛髪……

新陳代謝とは古いものが新しいものに変わっていくことをいいます。亜鉛は細胞の分裂が激しい部位に多く存在して新陳代謝が正常に行われるためのサポートをしています。

生命維持のために必要な生体反応の要である酵素の構成成分として、また、タンパク質やDNAの合成、ホルモン分泌(合成)、免疫反応の調整などに関与しています。
もっとかみ砕いていえば、味覚異常の改善、脱毛予防、生殖機能維持(男性ホルモンなどの合成、分泌促進)、成長促進作用などです。

亜鉛が欠乏すると、味覚異常をおこしやすくなることがよく知られています。
舌の表面に味を感じとる味蕾細胞があります。味蕾細胞の新陳代謝が低下し、古い味蕾細胞のままであれば、味覚異常をおこし、おいしく食事ができません。
亜鉛は味蕾細胞の新旧入れ代わりを促し、新しい味蕾細胞の形成に関与しています。
これはほんの一例で、亜鉛はこのような生体反応を円滑に進行させるため、絶対に欠かすことができないミネラル、栄養素です。

では、この亜鉛の働きがどのように薄毛改善、脱毛予防に関わっているか、核心に迫っていきましょう。

亜鉛が毛母細胞の分裂を促す

亜鉛は髪にも多く存在しています。髪をつくる細胞もまた、新陳代謝が盛んです。
毛母細胞の速い分裂(増殖)で髪がどんどん上(頭皮上)へとおし出されていきます。毛母細胞の分裂が激しければ、その分、髪も増え、太くてコシのある髪ができあがります。
新しい細胞を増やす働きを持つ亜鉛が十分に存在することで、毛母細胞の分裂は促されます。

亜鉛はタンパク質を合成する

髪はケラチンというタンパク質でほぼできているといっても過言ではないぐらいぎっしりとタンパク質がつまっています。
亜鉛はタンパク質の合成を促す働きをもっていて、欠乏すれば髪は細くなり抜けやすくなります。
ということで、亜鉛が脱毛予防に関与しているかもしれないということになるのですが、これだけでは解決しない問題が残っています。
そうです、AGAです。

亜鉛とAGA

亜鉛とAGA
これからAGAと亜鉛を組み合わせて考えてみたいと思いますが、冒頭で亜鉛はAGA改善に有効か、有効でないかという問題でサイトによって見解が分かれていると述べました。
これについて失礼ながら独断と偏見も交えて解説してみます。

まだはっきりとした結論が出ていない?

医師の間でも見解が分かれていることなのですが、「男性ホルモンは加齢で減少する」という揺るぎない確証を軸に考えてみたいと思います。

AGAは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素によって変わったDHT(ジヒドロテストステロン)が男性ホルモン受容体に結合し、発症します。
亜鉛は5αリダクターゼの働きを抑えることでAGA発症を食い止めるという見解もあれば、食い止めないという見解もあります。
後者は亜鉛補充に効果があるのは、亜鉛欠乏が原因で脱毛しやすくなっている場合ということを示唆しています。

そこで亜鉛がAGAに効果あるとすれば、どのような作用機序があるかを検討してみました。
亜鉛は精子の量を増やしたり、生殖機能を維持しようとする働きがあり、男性ホルモンの合成、分泌促進に関与しています。
男性ホルモンは加齢と共に減少します。男性ホルモン減少をそのままにしておくと、男性ホルモンの不足を補うため、より活性の強いDHTに変換されます。
男性ホルモン量の維持、増加があれば、DHTに変換される必要がなく、AGAの発症を抑えることができます。
要するに亜鉛は5α-リダクターゼの活性を下げてDHT合成を抑制するのではなく、体内の男性ホルモンを増やすことでDHTができにくい環境を作ると予測します。

亜鉛の積極的な摂取によって男性ホルモン減少を何とか回避でき、AGA発症を予防するというふうに考えられるのではと思うのです。

この説は亜鉛が「男性ホルモンを作る、増やす」ということが大前提です。
また、AGA発症と亜鉛欠乏を併発しているのであれば、亜鉛補充は非常に効果的な改善方法だと考えます。

まとめ

いかがでしたか?
亜鉛とAGAの関係はまだまだ未知な部分が多いようです。
毛髪医学は他の医学よりも解明が遅れ、近年になってようやく解明が進み始めたといわれています。
亜鉛と髪の関係はこれからもさらに色々なことが解明されてくると考えます。
亜鉛は不足がちなミネラルといわれていますが、摂り過ぎも健康を害します。
そのため、サプリで亜鉛を補充するのであれば、くれぐれもそのサプリの決められた摂取量の範囲を厳守してください。


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