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線維筋痛症は、身体の広範囲に渡る痛みが3ヶ月以上続き、同時に疲労感や倦怠感、うつ症状、しびれなどの症状を伴うことが多い疾患です。
病院で検査をしても異常が見つからないため精神疾患として捉えられることもあり、患者さんは慢性的な激しい痛みに加え精神的な苦痛も強いられてきました。
日本ではまだあまり知られていないのが現状ですが、わが国でも約200万人もの罹患者がいる、実は身近な病気のひとつです。近年TV「ためしてガッテン」でも取り上げられたり、ブログなどで病状を発信する患者さんも増えてきたため、この疾患への関心も高まっているようです。
30代以降の女性の罹患者が多い病気ですが、子供が発症する若年性のケースも見られます。お腹が痛い、体が痛いと痛みで学校を休んでいる子供の中には、線維筋痛症を患っているケースもあると考えられます。
病院の検査で異常なしと診断されても、親や家族など周囲の大人も仮病と決めつけることなく、専門医の診断を仰ぐことが望まれます。
線維筋痛症の症状
線維筋痛症は病院での一般的な血液検査や画像検査においてこれといった異常が見つからない、原因不明の全身の痛み(疼痛)が特徴の病気です。
さらにはドライマウスやドライアイ、関節の痛み、倦怠感などを伴うことが多く精神的にも不安定になりやすい傾向にあります。疼痛は次第に広がって強くなります。
入院治療が必要な場合もあります。軽い痛みの域から、生活に支障が出るほどの人まで痛みの度合いは人それぞれですが、初期症状にみられる、特定の部位の痛みがなかなか治まらないようであれば、早めに病院で受診するようにしてください。
また、病院では何科で受診すべきか悩む方も多いようです。まずはリウマチ科(膠原病科)での診療を受けるようにしましょう。
線維筋痛症の主な症状
- 全身の痛み(疼痛)
- 関節痛
- 倦怠感
- 疲労感
- 睡眠障害
- 便秘、下痢など過敏性腸症候群
- 頻尿
- 不安感、うつなど精神症状
- 肩こり、こわばり、筋肉痛
- 口や目の乾燥
- 耳鳴り、めまい
など
全身のあちらこちらに原因がわからない痛みが発症します。痛みのレベルは、リウマチを遥かに凌ぐ飛び抜けたものとなっており、常に骨折レベルの痛みを抱えている患者さんも少なくありません。
慢性的な痛みが続くことにより精神的に追い詰められやすく、痛みのケアと同時に精神科を受診している患者さんも多い病気です。痛みで熟睡できず、疲労感や倦怠感が拭えないことで、気持ちの落ち込みが激しくなると精神的に影響が大きく悪循環となります。
線維筋痛症が直接的な原因で死亡したケースはないと考えられ、治ることも多い病気です。小さな良い出来事にもしっかりと目を向けて前向きな気持で治療に取り組むことも改善への一歩と言えます。
線維筋痛症の原因と考えられること
明確な原因は究明されていないものの、近年の研究で線維筋痛症は脳が痛みのサインを受け取る機能に問題があると考えられています。
その機能障害によって痛みの感覚を強めるアクセル系信号が働きすぎると、通常では痛みを感じないような弱い刺激でも過剰な痛みを感じてしまうのです。
また、痛みを感じる部分には異変がないため、一般的な検査では線維筋痛症と診断しづらいのも現状です。
発症の原因として、ストレスとの深い関係がわかっており、精神的なストレスはもちろん身体的ストレスなどが積み重なったところになにか大きな引き金となる出来事があったのではないかと推測されます。
実際患者さんは、ストレスを感じやすい几帳面ながんばり屋さんタイプが多いのも事実。しかしストレスがどのようなプロセスで脳の誤作動を引き起こすかについてはまだ議論がなされている段階です。
検査しても異常が見つからない体の痛みが続くことは前兆の一つ。病院での速やかな受診が望まれます。
線維筋痛症の診断方法
線維筋痛症は何科で受信するのかわかりづらい病気ですが、中心となるのはリウマチ科(膠原病科)です。症状によって心療内科や精神科などとの連携による治療が進められることもあります。
線維筋痛症の診断方法として、アメリカリウマチ学会の分類基準が用いられています。全身にある18箇所の圧痛点を4kgの力で押し、11箇所以上に痛みを感じ、さらに身体の広範囲に渡る痛み(疼痛)が3ヶ月以上続いていることが診断基準となります。
また、機能性MRIやPETなどを用いた研究で、脳内の血流の増減などとの関係が判ってきました。
線維筋痛症の一般的治療法
線維筋痛症の治療は薬物療法が中心となります。まだ特効薬と言えるものは無いのが現状ですが、一気に治すということが目標ではなく段階的に痛みの度合いを下げていくことを目指す治療です。
それにより、睡眠障害や疲労感、うつ症状などを緩和し、さらなる改善へと繋げていきます。例えば痛みのレベルが10段階の状態では日常生活は痛みとの戦いが中心となりますが、7段階であれば簡単な身の回りのことは自身でこなせる。
4段階なら外出して散歩やランチを楽しむことができる、0段階で完全に復帰できるといった流れです。薬物療法と軽い体操や気分転換など生活療法の両方から改善を目指すことが好ましいと言えます。
線維筋痛症に使用される薬
一般の病院での治療は疼痛を緩和するための薬物療法が中心がとなります。特効薬というものはいまだに無く、薬局で手に入るような非ステロイド系鎮痛剤も大半のケースにおいてほとんど効果は望めません。
線維筋痛症は症状を見ながらどの薬が適しているか、細かいチェックが重要です。線維筋痛症に用いられる主な薬をリストアップしてみました。
- プレガバリン(商品名:リリカカプセル)…線維筋痛症向けとして日本で最初に認可された、保険収載された薬。疼痛治療薬。
- 塩酸ミルナシプラン(商品名:トレドミン)…セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬。
- ミルタザピン(商品名:レメロン、リフレックス)…ノルアドレナリン作動性・特異性セトロニン作動性抗うつ剤。
- マレイン酸フルボキサミン(商品名:ルボックス、デプロメール)…選択的セロトニン再取り込み阻害薬
- アルブラゾラム(商品名:コンスタン、ソラナックス)…抗不安剤
- アミトリプチリン(商品名:トリプタノール)…三環系抗うつ剤他
- 塩酸ミアンセリン(商品名:テトラミド)…四環系抗うつ剤
子供の場合、大人への処方とは異なるため、症状や状態に合わせて慎重に薬を選択する必要があります。
当クリニックでの線維筋痛症の治療法
線維筋痛症は免疫異常と自律神経のアンバランスも原因の一つと考えられます。免疫細胞はその多くが腸にあるため、腸内環境の状態や細菌叢のバランスアップは不可欠です。
線維筋痛症は原因が分かりづらく、完治も難しいため痛みの辛い時間が長く続き、精神的にもダメージを受けやすい病気です。また、一般の病院では薬物療法による対症療法が主となるため、根本的治療にはなかなか結びつかないのが現状です。
当クリニックではゲノム・フローラ等の検査によりオミックス医療で口内はもちろん全身、腸内などをチェックした上で原因と治療法を見極めて参ります。
当クリニックでは線維筋痛症に対し、最新の「腸内フローラ治療」を行なっております。腸内フローラ治療とは腸内フローラの細菌種をくまなく調べて、菌体のバランスをとる治療法です。
腸内フローラ検査によってどのような腸内細菌叢、すなわちどんな菌がどのようなバランスで生息しているかを検査し、内服あるいは移植による乳酸菌マッチングさせます。
当院では血液と菌体をあらかじめ相性のよい菌体をラボで調べ、そのマッチングにより適合した清潔な菌体を内服していただく方法を採用しております。
オーダーメイドの治療法だからこそ到達できる痛みから解き放たれる心地よい日々。お子さんが線維筋痛症を発症している可能性がある場合でも是非一度ご相談ください。