シェーグレン症候群の症状

2020年2月17日

監修:長岡 美妃先生

現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。
その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他

目や口が乾き、涙や唾液の分泌が少なくなる病気として知られるシューグレン症候群。病名は1933年にスウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンの発表した論文にちなんで名付けられました。膠原病のひとつの病気です。

ドライアイやドライマウスといった乾燥症状が主徴で、涙腺や唾液線の炎症が主な原因ではありますが、患者さんの多くにはリウマチの因子や抗核抗体などの自己抗体が見られることから、臓器病変を伴う全身性の自己免疫疾患と言えるでしょう。

日本には約7万人の罹患者がおり、特に50歳代をピークとした中高年の女性の罹患率が高いことでも知られています。罹患者における男女の比率は1:14と圧倒的に女性が多く、関節リウマチの患者さんの約20%がシェーグレン症候群を発症します。

他の膠原病との合併が認められる例が非常に多く、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎などの疾患を伴うのが特徴です。

他の膠原病を併発するこれらの病状を続発性(二次性)シェーグレン症候群と呼び、併発を伴わない病状は原発性シェーグレン症候群と呼びます。

1999年に改定された厚生労働省の診断基準に基づき、検査によって次の4項目の2項目が認められるとシェーグレン症候群と診断されます。

  • 唾液腺または涙腺組織でリンパ球という細胞が多くみられる。
  • 唾液腺の分泌低下が認められる
  • 涙腺の分泌低下が認められる
  • 血液検査で抗SS-A抗体か、抗SS-B抗体が陽性である。
  • 2017年にはシェーグレン症候群診療ガイドラインが新たに発表されました。

シェーグレン症候群の原因

あらゆる自己抗体の出現や自己免疫疾患で、遺伝的要素はもちろん、外的要因による免疫異常、女性ホルモンなどが要因と考えられています。しかしながら当クリニックでは、それらに加え下記も原因になっていると考えております。

  • 口腔内の環境:口腔内メタルから発生する電気による自律神経の乱れ
  • 腸内環境:腸内フローラのアンバランス
  • 免疫異常:
     ・アレルゲン
     ・慢性細菌感染=口腔内細菌
  • 遺伝子的背景
  • 自律神経バランス
     ・咬み合わせ
     ・口腔内ガルバニック電流
     ・背骨のゆがみ

当院ではこれらが一つまたは複数が絡み合って発症する病気という前提で、症状を見極めながら治療に取り組んでおります。

シェーグレン症候群の症状

シェーグレン症候群は主に涙腺や唾液線に腫れなどの症状があらわれます。目と口内が主な場所ですが、他にも膣や鼻などに症状が出ます。

  • 目の症状:涙の分泌が弱くなるため目が乾燥し、目がかゆかったりゴロゴロしたりするドライアイの状態になります。充血したり目やにが出たりまぶしさを強く感じることも。涙が出にくいため眼が炎症を起こし、角結膜炎などが起こりやすくなります。
  • 口内:唾液の分泌が少なくなるため口の中が乾いてねばついたり食事が詰まり気味になったりします。また声が出しづらく喉の痛みを伴うことも多くなります。虫歯になりやすい、悪化しやすい、口角に炎症が起こるといった傾向も見られます。
  • 鼻:鼻の粘膜が乾燥して分泌物が出にくくなるため、気管支炎などのリスクが出てきます。
  • 膣:女性は乾燥が認められることがあり、性交痛などの悩みを抱える人も少なくありません。
  • 関節:関節リウマチの症状に似た関節炎もみられますが、シェーグレン症候群の場合、関節は破壊されません。関節全体を包む部分に炎症が起こるジャクー関節症という症状がみられることもあります。複数の関節に腫れや痛みが見られる場合が多いようです。
  • 皮膚:全体的な乾燥がみられる。

そのほか、一部の患者さんは皮膚が乾燥してかゆみがおさまらない全身性エリテマトーデスと似た症状が認められるケースも。また、その他、耳の乾燥が辛い人もいますし、赤沈が高くなる血液の異常が見られる場合や指先が白くなるレイノー現象もあります。

発症の状況は個人差があり、突然症状がはじまるケースもありますが、徐々に重症化していくこともあり、気づかずにいると症状が悪化して中枢神経障害や腎炎、間質性肺炎など臓器にも障害が生じる可能性が出てきます。

いずれの症状も病院でも正確な診断が受けづらいケースが多く、患者さん本人も病気としての自覚が希薄な場合はより長期化させてしまうこともあります。

シェーグレン症候群の特徴的な症状

  • 常に口の渇きが気になる
  • 声が出づらく乾燥でのどに違和感や痛みを感じることも
  • 口の中が乾燥して、食事の味にも鈍感になった
  • 口の中が乾くのでいつも水を持ち歩いている
  • ドライアイで目薬が手放せない
  • 唾液が出づらく、虫歯も増えてきた(悪化してきた)
  • 目やにがたまりやすい
  • 複数の関節の痛みがなかなか治らず困っている
  • 体全体の皮膚の乾燥が激しい
  • 鼻の中にかさぶたができるようになった
  • 膣が乾燥しているため性交痛がある
  • 急に虫歯が増えてきた
  • 唾液が出にくいので声もかすれる

主なシェーグレン症候群の一般的な治療方法

  • 目の症状:細長いろ紙を両眼の下まぶたにはさみ、ろ紙がどのくらい涙で濡れるかを調べるシルマー試験によって涙の分泌量を検査します。シェーグレン症候群の患者さんは、正常な場合の3分の1未満という少ない分泌量であることも多く、初期症状の場合は点眼薬を用います。重症のドライアイの場合は涙腺に栓を施す「涙点プラグ挿入術」という外科治療が行われることもあります。
  • 口の症状:歯磨きやうがいをまめに行う、ガムを噛む、水分をまめに摂取する、水分量の多い食事を心がけるといった一般的な指導にくわえ唾液分泌促進薬など飲み薬の投与が基本です。薬はピロカルピン、エボザック、またはセビメリンなどが用いられます。膠原病との合併がない乾燥症状のみであれば対症療法が中心です。
  • 関節:関節の症状には多くの場合、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が処方されます。抗マラリア薬やまれに、メトトレキサートが投与されることもあります。

他の自己免疫疾患に伴って起こる二次性シェーグレン症候群の症状は、引き起こした自己免疫疾患の症状との相関を踏まえた治療法が選択されます。

臓器に障害がある場合はステロイドののみ薬や免疫抑制薬が処方されます。

当クリニックでのシェーグレン症候群の治療法

シェーグレン症候群は免疫異常と自律神経のアンバランスにより起こると考えられます。免疫細胞はその多くが腸にあるため、腸内環境の状態や細菌叢のバランスアップは不可欠です。

シェーグレン症候群は原因が分かりづらく、完治も難しいため辛い時間が長く続き、精神的にもダメージを受けやすい傾向にあります。一般の眼科や耳鼻咽喉科などの病院では対症療法が主となるため、根本的治療にはなかなか結びつかないのが現状です。

当クリニックではゲノム・フローラ等の検査によりオミックス医療で口内はもちろん全身、腸内などをチェックした上で原因と治療法を見極めて参ります。

当クリニックではシェーグレン症候群に対し、最新の「腸内フローラ治療」を行なっております。腸内フローラ治療とは腸内フローラの細菌種をくまなく調べて、菌体のバランスをとる治療法です。

腸内フローラ検査によってどのような腸内細菌叢、すなわちどんな菌がどのようなバランスで生息しているかを検査し、内服あるいは移植による乳酸菌マッチングさせます。

当院では血液と菌体をあらかじめ相性のよい菌体をラボで調べ、そのマッチングにより適合した清潔な菌体を内服していただく方法を採用しております。