ドライアイとコンタクト

2020年4月13日

監修:長岡 美妃先生

現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。
その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他

実は日本人の6人に1人はドライアイと言われています。この数十年でライフスタイルは激変しました。コンタクト愛用者が多いのはもちろんですが、パソコンやスマホを使うようになり、目の負担が増え続けているのです。

ただでさえエアコンがきいた部屋で目を凝らして作業をすれば、目に良いわけがありません。まばたきの回数も減って目が乾燥するので涙が足りず目薬が手放せないという人も多いでしょう。

しかしドライアイは単に目が乾く、だけではすまない場合も多いのです。ドライアイによって目の充血や肩こり、頭痛、吐き気やめまい、痙攣など日々不調が引き起こされることもありますし、涙が出づらくなるシェーグレン症候群などの病気が原因で引き起こされているケースもあります。

だから決して侮れないのがドライアイ。今回はドライアイの原因になりやすいコンタクトレンズ(ソフト、ハード)や人気のカラーコンタクトレンズ(カラコン)の使用について考えていきましょう。

ドライアイの原因

ドライアイの原因はシンプルにコンタクトレンズ(ソフト、ハード)やカラーコンタクトレンズ(カラコン)、あるいはエアコン、パソコンなどによる目の酷使、あるいは自己免疫疾患であるシェーグレン症候群などによって症状があらわれている場合もあり、実はさまざまです。

目を酷使して涙不足になるドライアイと疾患によってドライアイの状態になっている場合は原因も異なるため、見極めが肝心と言えます。

まず、一般的なドライアイはさまざまな要因で涙液層が不安定になり涙の分泌量が減少することにより起こります。

パソコンやスマホなどの使いすぎはまばたき不足に陥りやすい傾向にありますし、コンタクトレンズ使用などはもちろん、加齢によって涙を分泌する涙腺の機能低下が原因であるケースも。

視覚機能の中心である角膜にも負担がかかりやすくなり、乱視、目の乾燥による不快感や充血、かゆみ、異常に眩しいといった視機能異常などを引き起こしやすくなります。

コンタクトが原因のドライアイ

中でもコンタクトの愛用者にはドライアイの症状で悩む人が多く、ハードでもソフトでも目が乾きやすくなるためズレてしまったり、目に傷が入ったり、曇る、張り付く、充血する、かゆい、あるいはアレルギーを起こしてしまうケースが多くみられます。

特に目薬もささずに長時間つけたままの状態はリスクがたかく、パソコンやスマホなどでまばたきの回数も減ってしまうとドライアイが加速します。

ハードレンズもソフトレンズも最初は装着時には潤っていますが、時間が経つにつれ乾燥しやすい傾向となります。なかなか点眼ができない環境であれば、潤いタイプのコンタクトがおすすめです。

ドライアイの症状

ドライアイになると絶えず目の表面を守っている涙の分泌量が減少し、目にさまざまな不快感やトラブルをもたらします。特にコンタクトによるドライアイはゴロゴロ感、ずれる、充血、見えにくい、かすみ目、疲れ目、痛み、曇りなどを伴うことが多いのですが、その先には肩こり、頭痛、精神面でのイライラや鬱っぽさなどにつながることもあります。

目が乾燥してしまうのには主に二つの理由があります。

  • 涙そのものの出が悪い➖加齢などにより涙腺の機能が低下。涙の出が悪くなります。
  • 涙の成分内容に問題がある➖現代においてはこちらのケースが多く、ムチンや脂質などの成分が少なくなって涙が目にとどまらない「BUT短縮型ドライアイ」などが挙げられます。

それ以外には、自己免疫疾患であるシェーグレン症候群という病気などが原因のドライアイが考えられます。眼科でドライアイと診断されても症状がひどかったりなかなか治らない場合は疑ってみたほうがいいでしょう。

シェーグレン症候群のドライアイの症状は涙の分泌が弱くなるため目が乾燥し、目がかゆかったりゴロゴロしたりするドライアイの症状が顕著です。充血したり目やにが出たりまぶしさを強く感じることも。

涙が出にくいため眼が炎症を起こし、常に痛いという患者さんも。また、角結膜炎などの症状も起こりやすくなります。

一般的なドライアイの治療法

ドライアイを治すというのはなかなか難しいと言われていますが、コンタクトレンズ(ソフト、ハード)などが原因の一般的なドライアイはまず点眼薬で涙を補う方法が中心となります。

目のムチンを増やすジクアホソルなどの点眼薬が使われることもあります。強い炎症を伴う場合は、ステロイド薬を含む点眼薬が処方されたり、重度のドライアイには涙点プラグ挿入術治療も検討されます。

治療と同時に、普段の生活においても、水分や目にいい食べ物を十分に摂ったり、アスタキサンチンやビタミンC、ベリー系の眼のための予防サプリメントなどを取り入れると良いでしょう。

スマホやパソコンの使用時間の見直し、またコンタクトが原因の場合はメガネとのバランスなどを工夫するのも大切ですし、まばたきの回数は意識して増やすようにしてください。

また、目の周りのツボ押しやマッサージ、目元を温める市販アイテムなどを使うのも目の潤いのためにおすすめです。

コンタクトが原因のドライアイの場合、対策として乾燥しにくい種類のものを選んだり、コンタクトを着けていても使える目薬(点眼薬)を常に持ち歩き、乾燥が気になったらさすようにしましょう。

2weeks用を1day(ワンデー)に変えたら症状が改善した人もいます。アキュビューなどコンタクトのブランドやソフト、ハード、また機能は様々で選び方は値段との検討が必要ではありますが、ドライアイ対策も視野にセレクトしたいものです。

当クリニックでのシェーグレン症候群の治療法

長期的ドライアイの原因の一つの可能性となるシェーグレン症候群は免疫異常と自律神経のアンバランスにより起こると考えられます。免疫細胞はその多くが腸にあるため、腸内環境の状態や細菌叢のバランスアップは不可欠です。

シェーグレン症候群は原因が分かりづらく、完治も難しいため辛い時間が長く続き、精神的にもダメージを受けやすい傾向にあります。また、一般の眼科や耳鼻咽喉科などの病院では点眼薬などの対症療法が主となるため、根本的治療にはなかなか結びつかないのが現状です。

当クリニックではゲノム・フローラ等の検査によりオミックス医療で口内はもちろん全身、腸内などをチェックした上で原因と治療法を見極めて参ります。

当クリニックではシェーグレン症候群に対し、最新の「腸内フローラ治療」を行なっております。腸内フローラ治療とは腸内フローラの細菌種をくまなく調べて、菌体のバランスをとる治療法です。

腸内フローラ検査によってどのような腸内細菌叢、すなわちどんな菌がどのようなバランスで生息しているかを検査し、内服あるいは移植による乳酸菌マッチングさせます。

当院では血液と菌体をあらかじめ相性のよい菌体をラボで調べ、そのマッチングにより適合した清潔な菌体を内服していただく方法を採用しております。

オーダーメイドの治療法だからこそ到達できる眼にとっても心地よい毎日。シェーグレン症候群が原因のドライアイも根本から改善を目指しませんか? 当院ではシェーグレン症候群の改善率は73%を超えています。