ドライアイを治すには

2020年4月15日

監修:長岡 美妃先生

現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。
その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他

「目の乾燥が続いて目薬が手放せない」「涙が十分でなく目が痛い」「涙が出にくいので目がゴロゴロする」「視力低下している感じがする」「目が充血する」「朝、ひどくまぶしい」「目の充血が起きやすい」「寝起きの目やにがひどい」 「眼疲れが原因で肩こりや頭痛の症状がある」「コンタクトに違和感を感じるようになった」「乱視がひどくなった」

こんな目の症状にお悩みですか?

実は日本人の6人に1人はドライアイと言われています。この数十年でライフスタイルは激変しました。コンタクト愛用者が多いのはもちろんですが、パソコンやスマホを使うようになり、目の負担が増え続けているのです。

ただでさえエアコンがきいた部屋で目を凝らして作業をすれば、目に良いわけがありません。目が乾燥するので涙が足りず目薬が手放せないという人も多いでしょう。

しかしドライアイは単に目が乾く、だけではすまない場合も多いのです。ドライアイによって目の充血や肩こり、頭痛、吐き気やめまい、痙攣など日々不調が引き起こされることもありますし、涙が出づらくなるシェーグレン症候群などの病気が原因で引き起こされているかもしれません。

決して侮れないのがドライアイですが、治せない病気なのでしょうか? 今回は症状を改善するための対策と方法を考えていきましょう。

ドライアイの原因

ドライアイの原因はシンプルに目を酷使しすぎていることから起こる場合、また自己免疫疾患であるシェーグレン症候群などによって症状があらわれている場合もあり、実はさまざまです。

目を酷使して涙不足になるドライアイと疾患によってドライアイの状態になっている場合は原因も異なるため、見極めが肝心と言えます。

まず、一般的なドライアイはさまざまな要因で涙液層が不安定になり涙の分泌量が減少することにより起こります。パソコンやスマホなどの使いすぎ、コンタクトレンズ使用などはもちろん、加齢によって涙を分泌する涙腺の機能低下が原因であるケースもあります。

視覚機能の中心である角膜にも負担がかかりやすくなり、乱視、目の乾燥による不快感や充血、かゆみ、異常に眩しいといった視機能異常などを引き起こしやすくなります。片目だけに症状があらわれる場合もあり、鼻炎等との関連も含め症状を読み取った方がいいでしょう。

ドライアイの症状

ドライアイになると絶えず目の表面を守っている涙の分泌量が減少し、目にさまざまな不快感やトラブルをもたらします。ゴロゴロ感、充血、見えにくい、疲れ目、痛み、など症状は多岐に渡りますが、その先には肩こり、頭痛、精神面でのイライラや鬱っぽさなどにつながることも。

目が乾燥してしまうのには主に二つの理由があります。

  • 涙そのものの出が悪い➖加齢などにより涙腺の機能が低下。涙の出が悪くなります。
  • 涙の成分内容に問題がある➖現代においてはこちらのケースが多く、ムチンや脂質などの成分が少なくなって涙が目にとどまらない「BUT短縮型ドライアイ」などが挙げられます。

それ以外には、自己免疫疾患であるシェーグレン症候群という病気などが原因のドライアイが考えられます。眼科でドライアイと診断されても症状がひどかったりなかなか治らない場合は疑ってみたほうがいいでしょう。

シェーグレン症候群のドライアイの症状は涙の分泌が弱くなるため目が乾燥し、目がかゆかったりゴロゴロしたりするドライアイの状態が顕著です。充血したり目やにが出たりまぶしさを強く感じることも。涙が出にくいため眼が炎症を起こし、角結膜炎などが起こりやすくなります。

一般的なドライアイの治療法

ドライアイを治すというのはなかなか難しいと言われていますが、一般的なドライアイの治療は眼科でもまずは点眼薬で涙を補う方法が中心となります。

目のムチンを増やすジクアホソルなどの点眼薬が使われることもあります。強い炎症を伴う場合は、ステロイド薬を含む点眼薬が処方されたり、重度のドライアイには涙点プラグ挿入術治療も検討されます。

治療と同時に、普段の生活においても、水分や目にいい食べ物を十分に摂ったり、アスタキサンチンやビタミンC、ベリー系の眼のための予防サプリメントなどを取り入れると良いでしょう。

スマホやパソコンの使用時間の見直し、またコンタクトが原因の場合はメガネとのバランスなどを工夫するのも大切ですし、まばたきの回数は意識して増やすようにしてください。

また、目の周りのツボ押しやマッサージ、目元を温める市販アイテムなどを使うのも目の潤いに効果的と言えます。目薬の携帯もお忘れなく。

シェーグレン症候群とは

ドライアイやドライマウスといった乾燥症状が主な症状で、涙腺や唾液線に炎症が起こることが主な原因ではありますが、患者さんの多くにはリウマチの因子や抗核抗体などの自己抗体が見られ、臓器病変を伴う全身性の自己免疫疾患と言えます。

日本では約7万人の患者さんがいると言われており、特に50歳代をピークとした中高年の女性の罹患率が高いことでも知られています。罹患者における男女の比率は1:14と圧倒的に女性が多く、関節リウマチの患者さんの約20%がシェーグレン症候群を発症します。

他の膠原病との合併が認められる例が非常に多く、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎などの疾患を伴うのが特徴です。

他の膠原病を併発するこれらの病状を続発性(二次性)シェーグレン症候群と呼び、併発を伴わない病状は原発性シェーグレン症候群と呼びます。

シェーグレン症候群が原因のドライアイの検査と治療法

 

シェーグレン症候群によるドライアイのチェックの方法は、まず細長いろ紙を両眼の下まぶたにはさみ、ろ紙がどのくらい涙で濡れるかを調べるシルマー試験によって涙の分泌量を検査します。

シェーグレン症候群の患者さんは、正常な場合の3分の1未満という少ない分泌量であることも多く、初期症状の場合は点眼薬(ヒアレインなど)を用います。

目の乾燥で表面が弱っている場合は、防腐剤の入っていない使い捨てタイプのものがおすすめです。重症のドライアイの場合は涙腺に栓を施す「涙点プラグ挿入術」という外科治療が行われることもあります。

当クリニックでのシェーグレン症候群の治療法

シェーグレン症候群は免疫異常と自律神経のアンバランスにより起こると考えられます。免疫細胞はその多くが腸にあるため、腸内環境の状態や細菌叢のバランスアップは不可欠です。

シェーグレン症候群は原因が分かりづらく、完治も難しいため辛い時間が長く続き、精神的にもダメージを受けやすい傾向にあります。また、一般の眼科や耳鼻咽喉科などの病院では点眼薬などの対症療法が主となるため、根本的治療にはなかなか結びつかないのが現状です。

当クリニックではゲノム・フローラ等の検査によりオミックス医療で口内はもちろん全身、腸内などをチェックした上で原因と治療法を見極めて参ります。

当クリニックではシェーグレン症候群に対し、最新の「腸内フローラ治療」を行なっております。腸内フローラ治療とは腸内フローラの細菌種をくまなく調べて、菌体のバランスをとる治療法です。

腸内フローラ検査によってどのような腸内細菌叢、すなわちどんな菌がどのようなバランスで生息しているかを検査し、内服あるいは移植による乳酸菌マッチングさせます。

当院では血液と菌体をあらかじめ相性のよい菌体をラボで調べ、そのマッチングにより適合した清潔な菌体を内服していただく方法を採用しております。

オーダーメイドの治療法だからこそ到達できる眼にとっても心地よい毎日。シェーグレン症候群が原因のドライアイも根本から改善を目指しませんか? 当院ではシェーグレン症候群の改善率は73%を超えています。