過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 略称;IBS)の症状改善に効果があるツボを解説

2019年11月29日

監修:長岡 美妃先生

現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。
その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他

過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 IBS)の治療においては、自律神経を正常化させることが重要。東洋医学の見地における、ツボ押しや漢方処方は自律神経への良好なアプローチが認められており、治療法として取り入れることは大変有効と言えます。

このページでは、過敏性腸症候群の症状改善の効果が見込めるツボや漢方を紹介いたします。

過敏性腸症候群とツボ

10代〜30代と若い世代を中心に増えている過敏性腸症候群(IBS)。ストレスと深い関係があるため、特に先進国での罹患率が高い病気です。自律神経の乱れにより症状があらわれますが、腸管には腫瘍や潰瘍といった器質的な異常が認められないため診断が難しい病気の一つです。治療方法は食事療法や運動療法、心理療法、薬物療法などが一般的ですが、なかなか根本的な改善へと至らず症状が長期化するケースも。そんな中、東洋医学の見地に基づいたツボや漢方は一定の効果を上げており治療に取り入れられることが多くなっています。

過敏性腸症候群とは

 「下痢もしくは便秘が続いている」「下痢と便秘を交互に繰り返す」「不安や緊張といったストレスによって急に激しい腹痛に襲われる」「ガス漏れが続く」「人が背後にいるとガスが止まらなくなる」「急にトイレに行きたくなるので外出が不安」「ストレスを感じやすい」「頭痛が続く」「慢性的に吐き気がある」「うつっぽい」…といった症状が頻繁にあり、さらに2ヶ月以上続いているようであれば過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。

ではなぜ過敏性腸症候群(IBS)は起こるのでしょうか? 過敏性腸症候群を引き起こす原因は、大きく分けて2つと考えられています。一つは、自律神経のバランスが乱れた結果、不安や緊張といったストレスが自律神経や液性因子(ホルモン、サイトカインなど)を介して腸の異常な蠕動運動を引き起こしているというもの。過度の緊張やプレッシャー、ストレスなどが引き金となり、症状が引き起こされます。

もう一つの原因として考えられているのが神経伝達物質「セロトニン」の影響です。精神の安定に関わるため幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンは約90%が腸内で作られますが、腸内フローラのバランス崩壊により産生過多が起こると自律神経に影響を与えます。ストレスによって腸のセロトニンが過剰に分泌されると腸内のセロトニン受容体と結合し蠕動運動に異常が発生。それにより腸の不快感、腹痛、下痢などを引き起こすと考えられています。

腸と脳は「腸脳相関」と言われるほど密接な関わりがあり、自律神経やホルモン、サイトカインを介し、伝達しあっています。過敏性腸症候群はストレスと関わりの深い病気であり、治療方法も食事療法や運動療法、薬物療法、心理療法等が一般的ですが、なかなか根本的な改善に繋がっていないのが現状です。しかしながら自律神経にアプローチする鍼灸やツボ、漢方といった東洋医学は一定の効果をあげており、西洋医学と東洋医学それぞれの優れた治療法を同時に取り入れるクリニックや病院も増えています。

過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 IBS)と東洋医学

過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 IBS)は自律神経が不安定になり、脳が腸に適切でない伝達を送ることで症状が引き起こされるため、治療においては自律神経の正常化が大きな課題です。東洋医学の見地における、ツボ押しや漢方処方は自律神経への良好なアプローチが認められており、治療法として取り入れることは大変有効と言えます。

過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 IBS)とツボ

ツボ押しは自分でできる気軽に取り入れられるため、自宅などで習慣にすると良いでしょう。過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 IBS)と関連のあるツボをご紹介します。

(足)

足三里(あしさんり)

胃腸の機能を整える。

三陰交(さんいんこう)

冷えを改善する。

 

(手)

合谷(ごうこく)

大腸の機能をよくする。

 

(お腹)

中脘(ちゅうかん)

胃もたれを改善する。

天枢(てんすう)

大腸の機能を整える。

神闕(しんけつ)

おへそにあるツボで、腹痛や下痢にアプローチ。

大巨(だいご)

便通を整える。

過敏性腸症候群(IBS)便秘型に処方される漢方

小柴胡湯号桂枝加芍薬湯(ショウサイコトウゴウケイシカシャクヤクトウ)

中程度の体力を擁し、特に不安感や緊張がみられる便秘型に用いられます。

桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)

体力が中程度以下で、腹部膨満感、緊張感があり、粘液を出しても出渋る傾向や腹痛なども伴う便秘型に用いられます。

桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)

過敏性腸症候群で最も用いられる機会が多い漢方薬。体力が中程度以下で、便意に腹痛が伴う場合に。便秘と下痢を繰り返すタイプにも用いられます。

小建中湯(ショウケンチュウトウ)

小児の腹痛や寝汗を伴う症状に。桂枝加芍薬湯に飴を添加したものです。

過敏性腸症候群(IBS)下痢型に処方される漢方

半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)

吐き気を伴い、お腹がぐるぐる鳴る下痢に。唾液の粘りを感じやすい症状もみられます。

甘草瀉心湯(カンゾウシャシントウ)

体力が中程度でストレスや情緒不安定で下痢になる症状に。

人参湯(ニンジントウ)

痩せ型、胃下垂タイプで下痢が続くとき。手足やお腹に冷えがあるときに温める働きがあります。

大建中湯(ダイケンチュウトウ)

冷えや腹痛があり、腸の蠕動運動が外からも望見できる症状に。ガスにより膨満感や手足が冷えているときにも用いられます。

胃風湯(イフウトウ)

体力が低下し、軽い渋り腹がある濃便の症状に。圧痛があるのが指標となります。

(参考文献:『家庭の医学』主婦の友社)

圧倒的な改善を実現している最新の治療法とは

近年の研究により、過敏性腸症候群( IBS)原因として腸内フローラの乱れや歯の金属によるアレルギー、及び発生するガルバニック電流などの影響が大きいことも分かってきました。過敏性腸症候群の方の腸内フローラは腸の健康を保つために必要な乳酸菌が殆ど存在しないケースも多く見られます。人によって、症状へ向かう引き金は様々ですが、まず言えることは腸脳相関が悪循環に陥ってしまっていること。それは腸内環境の悪化や金属アレルギー等の影響により自律神経が乱れることが原因です。それはまたストレス耐性を著しく低下させることに繋がり、うつや不安症の発症のもととなります。

近年、圧倒的な治癒率で注目を集めているのが、腸内フローラ治療です。腸内フローラ検査により、腸内細菌叢(腸内フローラ)の構成をチェックしたうえで適切な乳酸菌マッチングが行われます。さらに、自律神経に悪影響を与えるため実は症状の原因となっているケースが多いと考えられているのが口腔内の金属による影響です。口腔内の金属をチェックし、口腔内からの治療を試みることも改善への一歩です。

血液検査や内視鏡検査では一人の体に1200種類、100兆個も存在すると言われる腸内フローラの状態を診断することはできません。腸内フローラ検査ができるクリニックでチェックを受け、腸内にどのような菌がどのくらい生息し、それが体調や腸の症状にどんな影響を与えているかを詳細に知ることが治療につながります。また、口腔内の金属チェックについても、お口の中の金属がどれくらい溶け出しているかを調べ、金属アレルギーの可能性と自律神経への影響を確認することも大切です。

クリニックの総合的診療

過敏性腸症候群はいまだ患者さんが納得できる治癒を実現するのが難しい病気の一つです。しかしながら当クリニックでは東洋医学からの診断はもちろん、腸内フローラ検査や口腔内金属アレルギー検査などによって根本原因に辿り着き、それに沿った治療法での改善、治癒実績を数多くあげております。まずは過敏性腸症候群の根本原因を調べる初回カウンセリングをお受けください。これまで諦めていた症状を改善して、QOL(生活の質)の高い毎日を送りませんか?