過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 略称;IBS)を食事で改善!効果的な食習慣とは?

2019年12月10日

監修:長岡 美妃先生

現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。
その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他

過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 IBS)は、不快を伴う便通異常が長期に渡るのに、病院で検査をしても器質的異常は見当たらず、機能的異常のみが認められる病気です。

心理的ストレスが起因となっている場合が多く、ストレスで自律神経の伝達が乱れると下痢や便秘、その混合またはガス漏れなどの症状が引き起こされます。

潰瘍や腫瘍、炎症といった異常がみつからないため軽く考えてしまいがちですが、長期に渡り不快な症状が続くと、生活の質(QOL)が下がり、精神的にもうつを引き起こすなどしやすくなります。

このページは、過敏性大腸炎を改善に導く食事の取り方と、最新の治療方法に関して解説した記事です。

過敏性腸症候群(IBS)の原因とは?

過敏性腸症候群(IBS)は大腸の運動および分泌機能の異常で起こる病気で、原因ははっきりとは解明されていませんが、大きく分けて2つの考えらます。

一つは、ストレスや極度のプレッシャーにより自律神経のバランスが乱れた結果、腸が異常な運動を引き起こすこと。

もう一つは精神の安定に関わる神経伝達物質「セロトニン」の影響。セロトニンは約90%が腸内で作られますが、腸内フローラの乱れにより分泌過多を起こしやすく自律神経に悪影響を与えます。

ストレスによって腸のセロトニンが過分泌されると腸内のセロトニン受容体と結合し、蠕動運動に異常が発生。大腸の不快感、腹痛、下痢などが引き起こされます。

腸と脳は「腸脳相関」と言われるほど密接な関わりがあり、自律神経によって繋がっています。緊張や不安などでストレスを感じると自律神経は乱れやすくなり、脳が腸に異常なシグナルを伝達してしまいます。

それにより腸の蠕動運動がおかしくなるだけでなく、慢性化することで過敏性腸症候群へと繋がるリスクとなります。

過敏性腸症候群はストレスの多い先進国、かつ10代~30代と若い世代の患者が多く、繊細で神経質な人ほどかかりやすい傾向にあります。急激なストレスで発症しやすいことから、神経症、うつ病の一つと捉えられることも。

また、胃腸の身体的症状のみならず、めまいや頭痛、同期、肩こりなどを伴う自律神経失調症や睡眠障害、不安、気分の落ち込みによるうつ病、イライラといった精神状態になりやすいのも過敏性腸症候群の特徴と言えます。

過敏性腸症候群(IBS)の症状

「下痢もしくは便秘が続いている」「下痢と便秘を交互に繰り返す」「不安や緊張といったストレスによって急に激しい腹痛に襲われる」「ガス漏れが続く」「通勤や通学途中、あるいは会議の前に急に腹痛を伴う下痢が起こる」「急にトイレに行きたくなるので外出が不安」「ストレスを感じやすい」「頭痛が続く」「慢性的に吐き気がある」「うつっぽい」……などの症状が過敏性腸症候群の典型です。

過敏性腸症候群は便の形状などにより、4つのタイプに分類されます。

①下痢型

男性に多く、ストレスを感じると急激な下痢を引き起こします。腹痛を伴うことが多く、便に粘液が混ざることもあります。

②便秘型

女性に多く、ストレスを感じると便秘が続きます。硬い便やコロコロ便が多いです。

③混合型

腹痛およぶ腹部の違和感、下痢と便秘が複数日間隔で交互に現れます(交代性便通異常)

④分類不能型

上記いずれにも当てはまりませんが、便の形などで判断します。

またガスがずっと漏れ続けるガス漏れ症状も見られ、背後に人が立つとかならずガスが漏れてしまうという症状もまれに見られます。

過敏性腸症候群(IBS)の主な治療法を紹介

過敏性腸症候群(IBS)はストレスと関わりの深い病気であり、治療方法も食事療法や運動療法、薬物療法、心理療法等が一般的です。食事療法や運動療法はライフスタイルの見直しからはじめます。

例えば、脂質の多い食事や辛いスパイスなど刺激が強すぎる食事をとりすぎていないか?アルコールやタバコ、カフェインなどの嗜好品を取りすぎていないかなど、食の傾向をチェック。さらに適度な運動はストレスマネジメントにも繋がるため、無理のない範囲での運動も推奨されます。

薬物療法では整腸剤や高分子重合体、抗コリン剤、止瀉薬、漢方などが症状に応じて処方されます。心理療法ではカウンセリングをはじめ、症状に応じて心療内科や精神科での治療も行われます。必要に応じて抗うつ剤などの薬剤が処方されることもあります。

過敏性腸症候群(IBS)を改善する食事のとり方

過敏性腸症候群(IBS)の症状はすべて腸管の運動機能に異常があると診断できます。よって食事療法においては、腸管の働きがスムーズになることがカギとなります。食事と排便は当然のことながら密接な関わりがありますから、食事の内容はもちろん、食事の時間帯などリズムも大切にしなければなりません。

食事の時間はなるべく規則的に

食事の時間が不規則になると、排便のリズムも狂ってしまいがちです。なるべく1日3食とるようにし、食事の時間も一定にするようにしましょう。大腸反射は朝起こりやすいので、朝食をとることで出かける前に便意も起こりやすくなり、排便リズムを整えるのに有効です。

夜遅くに食事をとるのは胃腸に負担をかけてしまうためNGです。

食事の量について

食事を抜くと腸の蠕動運動が鈍り、便意が起こりにくくなります。食事は少なすぎても排便のリズムを狂わせる原因に。過敏性腸症候群(IBS)にかかっているときは、食事は栄養価的にもバランスよく適量きちんと食べるようにしましょう。

食事中はリラックスしましょう

食事の時間はきちんと確保し、ゆっくり噛んで食べること。リラックスした気持ちで食事の時間を過ごすことも大切です。気のおけない仲間や家族と一緒に安心した気持ちで食事をとると、ストレス軽減にもつながるでしょう。

食物繊維をしっかりと摂取

過敏性腸症候群(IBS)は潰瘍や炎症などの器質的異変がないため、食事に特別な制限があるわけではなく、普段より気を遣うことでOKです。特に便のカサを増して腸の蠕動運動を助ける食物繊維は120gを目標に水溶性と不溶性の2種類からしっかりとりましょう。

水溶性食物繊維

りんご、こんにゃく、こんぶ、大麦などからとれます。便の余分な水分を吸収して下痢を予防します。

不溶性食物繊維

豆類、穀類、ごぼう、きくいもなどからとれます。便のカサをまして排便を促します。

高い治癒率で注目を集める、過敏性腸症候群(IBS)の最新治療法

日常生活での食事療法は過敏性腸症候群(IBS)の大切な改善策の一つです。その上での根幹的な治療については、医療機関での専門的な診療が必要です。

近年の研究により、過敏性腸症候群の原因として、腸内フローラのバランス崩壊との関わりがわかってきました。過敏性腸症候群の方の腸内フローラは腸の健康を保つために必要な乳酸菌が殆ど存在しないケースも多く見られます。

ここ数年、高い治癒率で注目を集めている治療法が、腸内フローラマッチングです。腸内フローラ検査により、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスをチェックしたうえで適切な乳酸菌マッチングを行い、腸内環境を整えます。

当クリニックは、遺伝子・腸内フローラ研究の第一人者である陰山康成医師が、過敏性腸症候群の治療にいち早く腸内フローラマッチングを取り入れ、高い改善率をあげております。まずは当院で腸内バランスの検査を受けてみませんか?