整腸剤は過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 略称;IBS)に効果がある?最も効果的な治療法とは?

2019年12月11日

監修:長岡 美妃先生

現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。
その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他

「2ヶ月以上、下痢もしくは便秘が続いている」「下痢と便秘を交互に繰り返す」「不安や緊張といったストレスによって急に激しい腹痛に襲われる」「ガス漏れが続く」「慢性的に吐き気がある」「うつっぽい」

そんな症状が続いていたら、それは過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。不快感を伴うお腹の不調が中心の症状ですから、整腸剤をはじめ腸を整える薬は切り離せない病気です。

この記事では、過敏性腸症候群の原因と症状を紹介した後に、整腸剤がどのように寄与するのか、また最新の治療法に関して紹介いたします。

過敏性腸症候群(IBS)とは

腫瘍や潰瘍といった器質的な症状が認められないため、病気としての診断が難しいと過敏性腸症候群(IBS)。先進国の10代〜30代の若い世代に多く見られ、性格的には神経質で繊細なタイプがかかりやすい傾向にあります。

下痢や便秘が続いたり、下痢と便秘を交互に繰り返したり、不安や緊張といったストレスによって急に激しい腹痛に襲われる、またガス漏れが続くといった症状が顕著で、ストレスによるうつ症状が現れるケースもあります。

過敏性腸症候群とは大腸の運動および分泌機能の異常によって引き起こされる病気の総称で、その原因についてはいまだ厳密には解明されていません。

症状を引き起こす原因としては大きく分けて2つの可能性が考えられます。

まずはストレスなどが原因で自律神経のバランスが崩れ、脳から腸へ異常な伝達が行われてしまっているもの。

脳と腸は「腸脳相関」と呼ばれるほど密接な関わりがあり、緊張やプレッシャー、不安などのストレスによりそのシグナルに異常が生じることで症状が引き起こされます。

もうひとつは神経伝達物質「セロトニン」の影響です。セロトニンは精神の安定と深い関わりがあり、別名”幸せホルモン”と呼ばれるもので、その約90%は腸内で産生されますが、腸内環境が悪化すればセロトニンの産生が過多あるいは過小へと傾くことがわかっています。

症状は、便の形状により4タイプに分類されます。女性に多い便秘型。男性に多い腹痛を伴う下痢型。下痢と便秘を交互に繰り返す混合型。そして分類不能型です。

下痢を伴うケースでは会議前や通勤途中などに急な腹痛を感じてトイレに駆け込むといった症状が顕著です。そのような下痢タイプは、トイレのない場所に行くことが不安で引きこもりがちになるなど生活の質(QOL)が低下しているケースもあり、症状の背後にはうつや不安症を引き起こすきっかけも潜んでいます。

過敏性腸症候群(IBS)の治療法

ライフスタイルの見直し

まずは、ライフスタイルを見直して、生活習慣や睡眠、食生活を改善しましょう。昼夜逆転の生活や、質の低い睡眠はストレスの原因となり、腸内環境に悪い影響を与えます。

便秘はトイレへ行くタイミングをできるだけ調整することも大切です。またアルコールやコーヒーなど嗜好品や脂質を多く含む食事、香辛料などの摂りすぎも腸への負担となり下痢に繋がりやすくなります。

服用している薬やサプリメントなどが下痢や便秘を引き起こしている可能性もあるため、その内容を改めてチェックすることも必要と言えるでしょう。過敏性腸症候群(IBS)は適度な運動によって症状が軽減するケースもあるため、運動不足であれば、ストレスマネジメントも兼ねてウォーキングやストレッチなどの運動習慣をつけることをおすすめします。

過敏性腸症候群(IBS)と心理療法

過敏性腸症候群(IBS)は器質的な異変がないにも関わらず症状がなかなか改善しにくいため、アンハッピー・ディジーズ(不幸な病気)と呼ばれることもある病気です。

生命への深刻な影響はないものの、ストレスが主たる原因であるケースは多く、病状が長引くにつれ更にストレスが重なり精神的には参ってしまう人も多くなります。そのような場合にはカウンセリングや自律神経訓練などの心理療法が有効です。

過敏性腸症候群(IBS)と整腸剤

便秘、下痢、また下痢に伴う腹痛など、それぞれの症状に応じた薬物療法が行われます。しかし、整腸剤など、薬での改善は一時的なものとなりやすく、本質的な効果がなかなか期待できないのも現実です。

最近では、過敏性腸症候群と健康な人との腸内細菌叢(腸内フローラ)の違いが明らかとなり、過敏性腸症候群の罹患者にとって悪玉菌となる菌が腸内で増殖した状態では、整腸剤など薬の投与もそれほどの効果が得られないと分かってきました。

よってビオフェルミンなどの整腸剤は、腸内フローラのバランスを整える目的で処方されることもありますが、過敏性腸症候群の方を治療するためには腸内フローラを健康な状態まで改善させないと抜本的な解決にはなりません。そこで今最も注目を集めているのが、腸内フローラ検査による乳酸菌マッチングです。

過敏性腸症候群(IBS)と腸内フローラ治療

近年、過敏性腸症候群(IBS)で非常に高い治癒率をあげているのが、乳酸菌マッチングによる腸内フローラの改善と口腔内金属アレルギーを除去する方法です。

まず腸内フローラ検査によって腸内細菌叢(腸内フローラ)がどのような菌叢であるかを確認し、菌叢のバランスを改善する乳酸菌をマッチングさせます。腸内環境が整うことで、腸と脳の伝達が正常になれば症状の軽減効果が期待できますし、精神安定ホルモンの「セロトニン」の産生量が整うことでストレスへの耐性も高まります。

それに加え、自律神経のバランスを乱す原因の大きな一つと考えられる口腔内の金属アレルギーを緩和することも大切です。

自律神経との密接な関わりのある物質の大半が作られる腸内を整え、自律神経の乱れを起こす口腔内金属アレルギーを改善することは、これまでの一般的な治療とは異なるアプローチとして、医学界からも高い注目を集めています。

当クリニックはいち早くこれらの治療法を取り入れ、数多くの患者様の治癒を成功させております。過敏性腸症候群でお悩みの方は、ぜひ一度当クリニックにご相談ください。