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掌蹠膿疱症(しょうせきほうのうしょう)は手のひらや足の裏に水ぶくれ(水疱)や膿疱が繰り返しできる皮膚の病気です。一見アトピーや乾癬(かんせん)、あるいは水虫と見間違えてしまうような皮膚症状もあります。
無菌性のため、直接触れても感染はありません。改善や悪化を期間ごとに繰り返す慢性の傾向があるため病院に通っても完治が難しく、患者さんのブログなどで名医を求める声も上がっています。
原因は人によってさまざまですが、喫煙やストレス、また近年は金属アレルギーと関係が強く指摘されるようになりました、歯の金属を取り除いたことで症状が劇的に改善するケースも数多く報告されています。ステロイド剤やビオチンなどの内服薬が病院での一般的な薬物治療法です。
掌蹠膿疱症の原因
掌蹠膿疱症を発症する明確な原因は明らかではありませんが、様々な要因が絡んでいると考えられており、病巣感染(副鼻腔炎、扁桃炎など)、金属アレルギーがその主たるものです。
特に近年金属アレルギーとの相関性が解明されてきており、歯科治療による金属の詰め物から金属成分が溶け出し、血流に乗って全身をまわることで掌蹠膿疱症を発症したケースもかなりの数が報告されています。
金属アレルギーが起こるメカニズム
金属アレルギーとは金属が直接アレルギーを起こすものではなく、汗や体液などに触れて溶け出した微量な金属成分がイオン化し、イオン化した金属が体のタンパク質と結びついてアレルゲンが生じることで起こります。
金属イオンはもともと体には無いものなので、体が異物として過剰反応を起こし白血球が攻撃を始めてしまうのです。体内で異物として認識されると抗体が作られるため、再び同じ金属が体に触れると拒絶反応を起こし、かぶれや炎症が起こります。
しかしながらアレルギー反応を起こすか否かは、体質や体調などが大きく関係しており、また人によって金属アレルゲンへの許容量が異なるために発症する人としない人が出てきます。
また、どの金属に対して発症するかも人により異なります。また、チョコレートや大豆製品、コーヒーなどの食品にも微量に含まれていて、含有する微量のニッケルに反応する人もいます。
宝飾品以外にも、髪留めなどの金属、そして実は湿布やリップクリーム、トイレットペーパーの香料などにも含まれていることもあり、何がどうアレルゲンになってしまうかは、それぞれの体質によります。
- 金属アレルギーを起こしやすい金属(溶け出しやすい金属)…ニッケル、コバルト、クロム、錫、亜鉛、銅、鉄など
- 金属アレルギーを起こしにくい金属(溶け出しにくい金属)…ジルコニウム、
金、銀、プラチナ、チタン、ステンレスなど
- ニッケルを多く含む食品(一部)…穀類、豆類、コーヒー、紅茶、烏龍茶他
- クロムを多く含む食品(一部)…チョコレート、米ぬか、チェダーチーズ、パルメザンチーズ、昆布、枝豆他
- スズを多く含む食品(一部)…小麦胚芽、チョコレート、寒天、インスタントコーヒー他
- 亜鉛を多く含む食品(一部)…米ぬか、小麦胚芽、はと麦、たらこ、アーモンド、ピーナッツ、牛肉、豚肉、プロセスチーズ、コーヒー、紅茶他
(※但し体質によりその反応は異なる。)
金属アレルギーの検査方法
金属アレルギーの一般的な検査方法はパッチテストが有名です。金属アレルギーの試験試薬を塗布し、パッチテストシートを背中もしくは腕に貼ります。
48時間湯船につかれず、運動もできません。さらにアレルゲンを直接肌に貼ることになるため、皮膚症状の悪化を招く一因ともなりえます。最近では血液検査による詳しい金属アレルギーの検査(DLST)が可能になりました。
こちらはアレルゲンによって症状を強めることもないですし、その場で血液を採取するだけの安心な方法です。
金属アレルギーの症状
金属アレルギーは概ね2種類に分けられます。
接触皮膚炎
アクセサリーなど金属が直接肌に触れた部分に生じる赤みやかゆみ。特にピアスは反応が起きやすく、耳たぶが熱を持った感じであったり、痛みを感じたり、または膿んだりしてしまうこともあります。
全身性金属皮膚炎
歯の治療による銀歯などの金属成分が溶け出し、血流によって全身にめぐり発症する掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)や汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)などの症状。
掌蹠膿疱症の症状
40 代以降に発症しやすい慢性難治性の疾患で、手や足の裏に無菌性の水疱や膿疱が繰り返しできてしまいます。関節炎を併発してしまうこともあり、爪が変形したり、骨や関節が痛むといった症状があらわれる場合もあります。
はじめに手のひらや指、足のうらなどにかゆみが生じ、徐々にその皮膚の周辺も炎症が広がって赤くなり、角層が積み重なって厚くなるためひび割れして痛みを伴うようになります。
改善したり悪化したりと繰り返すケースも多く、どんなときに悪化してしまうかを自分で把握しておくことも大切です。
掌蹠膿疱症の爪の症状
爪に症状が出た場合、爪の下に膿疱ができたり、爪が剥がれたり、変形したりといった症状がみられます。
掌蹠膿疱症の骨・関節の症状
掌蹠膿疱症の合併症の例として、関節や骨と腱の結合部分、あるいは骨そのものに炎症が起きてしまう掌蹠膿疱症性骨関節炎があります。
胸骨と鎖骨を繋ぐ胸肋鎖関節(きょうろくさかんせつ)にもっとも多くみられ激痛を伴うことが多いものの、掌蹠膿疱症が原因であることになかなか辿り着けず悪化する場合もあります。病院での医師との綿密なコミュニケーションが肝要です。
掌蹠膿疱症の一般的治療方法
掌蹠膿疱症の治療方法は主に、原因因子の除去からはじまります。喫煙が原因であれば禁煙、金属アレルギーが原因であれば歯科治療で歯の詰め物の金属を取り除いた上で様子をみます。
薬物療法としては、外用薬の塗り薬、内服薬、皮膚の免疫を弱める紫外線療法(PUVA療法)、細胞の伝達物質サイトカインの働きを低下させる生物的製剤の注射などがあります。治療法は症状や原因によって選択されます。
外用薬
副腎皮質ステロイドやビタミンD3外用薬などが用いられます。ステロイドは副作用のリスクもあるため、使用には注意が必要です。
内服薬
ビオチンというビタミン剤、抗生物質などが用いられます。掌蹠膿疱症性骨関節炎では非ステロイド系の抗炎症剤を内服します。
当クリニックの掌蹠膿疱症検査及び治療法
当院は皮膚科、内科、歯科のドクターが複数在籍しています。それぞれの医師が綿密に連携し総合的な診療を行いながら、掌蹠膿疱症など金属アレルギーと深く関連している皮膚疾患の根本原因を究明。適切な治療方法を検討します。
また、当院ではアレルゲンを直接皮膚に貼るパッチテストは採用しておりません。
最新の検査法である金属アレルギーの血液検査(DSLT)を採用し、金、銀、パラジウム、ニッケル、チタン、スズなどの金属にどの程度のアレルギーがあるかを詳しくチェックします。
さらに、お悩みの症状と金属アレルギーとの関連性が認められた場合は、金属アレルギーが関連する歯科金属をすべて除去し、同時に体内に蓄積した金属を排泄するための内服・点滴療法を行います。また金属アレルギー検査に基づいた生活指導や食事指導も実施します。
まずは金属アレルギー遺伝子検査ができる当院の初回カウンセリングをお受けください。