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厚生労働省からの指定難病である潰瘍性大腸炎(UC)は大腸の粘膜に炎症が生じる病気で、免疫細胞が暴走し自らの腸細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
炎症がなかなか治まらず腸壁が傷つきただれ潰瘍やびらんが形成されてしまいます。それにより血便や下痢が続き、腹痛や貧血を起きるといった症状があらわれます。
細菌性のように疾患を引き起こす明確な原因がはっきりしていない病気ですが、ストレスやライフスタイルの乱れ、過労、寝不足、バランスの悪い食事による腸内環境の悪化、また遺伝的要素、食事抗原などが引き金となっていると考えられます。
特にストレスなどの心因的要因は罹患の原因及び悪化する際には大きな影響があると見られています。
日本には現在約18万人の潰瘍性大腸炎の罹患者が報告され、年々増加傾向にあります。発症年齢は10代後半から35歳くらいまでが多く、男女差はありません。しかし小児を含む子供、あるいは中高年が発症するケースも増えています。
そもそも大腸内に炎症が起きるのは、免疫が体にとって有害なウイルスなどの病原体や壊死した細胞を排除しようとする反応です。しかしながら、過剰な反応によって、本来なら必要である腸内の常在菌や正常な細胞までも排除してしまうために症状があらわれます。
潰瘍性大腸炎は複合的な原因によって、大腸内の異常な免疫反応が引き起こされる病気で、ストレスとの大きな関わりが指摘されています。症状が近い病気に小腸や大腸などあらゆる消化管にも炎症が起きる難病指定の「クローン病」があります。
いずれも慢性腸炎で炎症性腸疾患(IBD)に分類されます。
潰瘍性大腸炎(UC)の症状
器質的な異常が認められない過敏性腸症候群(IBS)等の機能性腸疾患とは異なり、潰瘍性大腸炎(UC)は大腸の粘膜に炎症性の潰瘍が生じます。また、びらんや潰瘍が形成されることで大腸の機能低下を招く炎症性腸疾患です。
発熱や体重の減少も見られます。下痢を繰り返し、血便や粘液の混ざった血便を伴うことが特徴で、細菌性などの明確な原因が見つからないため完治が難しいと考えられています。
潰瘍性大腸炎は炎症がひどくなる「活動期」と落ち着く「寛解期」があり、その繰り返しが起こります。よって、症状が治った時期を完治ではなく寛解と呼びます。活動期にはストレスを強く感じやすくなりますし、ストレスがさらなる悪化を招くと考えられています。
活動期の症状は肛門に近い直腸から徐々に大腸全体に広がっていくケースが一般的で、炎症が広がる範囲によって大きく3タイプに分類されます。
病型の分類
- 直腸炎型…炎症が直腸部分のみに見られるタイプ。
- 左側大腸炎型…炎症が大腸の左側部分にのみに見られ、脾彎曲部(ひわんきょくぶ)を超えていないタイプ。
- 全大腸炎型…炎症が脾彎曲部(ひわんきょくぶ)を超えて大腸全体に広がっているタイプ。
- その他、右側大腸炎型、区域性大腸炎など
右側大腸炎型、区域性大腸炎もまれにあります。
臨床的重症度の分類
軽症、中等症、重症の3分類に分かれ、明確な診断基準があります。
重症 中等症 軽症
排便回数 1日6回以上 重症と軽症の中間 1日4回以下
血便 (+++) 同上 (+)〜(−)
発熱 37.5℃以上 同上 (−)
頻脈 90/分以上 同上 (−)
貧血 Hb10g/dL以下 同上 (−)
赤沈 30mm/h 以上 同上 正常
約7割の患者さんが軽症で、重症度の患者さん以外は基本的には通院治療となります。しかしながら、悪化したり長期化することで合併症があらわれる場合があります。合併症の進行によっては絶食入院や点滴治療、また手術となるケースもあります。
合併症
合併症が腸内に生じるものと腸以外の部位に生じるものとに分けられます。
腸管合併症
手術を必要とする重篤な症状です。激痛や発熱、吐き気が症状悪化のサインです。
- 腸管の大量出血
- 腸管の狭窄
- 腸壁に穴があく穿孔
- 中毒性巨大結腸症➖大腸の動きそのものが止まってガスが溜まるなどして腸が巨大化。
腸管外合併症
症状が全身にあらわれます。
- 眼の症状➖眼の炎症により強い痛み、充血、光が眩しく感じられます。
- アフタ性口内炎➖舌や歯肉にできる浅い潰瘍。
- 強直性脊椎炎➖背中から腰、お尻にかけての痛み。
- 関節炎➖一番多く見られる合併症で、手指や膝の関節が腫れて痛みを伴います。
- 結節性紅斑➖足首やすねが痛みを伴って赤く腫れます。
- 壊疽性膿皮症➖足の皮膚が膿み、放置すると深い潰瘍となる皮膚病変。
また潰瘍性大腸炎は直接的に寿命を縮める病気ではありませんが、罹患して長期間が経過すると炎症によって遺伝子異変が起きやすくなり、大腸ガンのリスクが高まると言われています。早期発見のためにも少なくとも年に一回は大腸内視鏡の検査を受け、粘膜の状態を確認することが大切です。
潰瘍性大腸炎は何よりもまず気分転換やストレッチなどの運動、あるいは趣味などにより日々のストレスをケアし精神的な安定をはかること、さらに腸内の炎症を抑えて腸内環境を整えることが改善への近道と言えます。
潰瘍性大腸炎(UC)の薬物療法
潰瘍性大腸炎(UC)の治療薬は症状の強弱によって様々です。よく処方される比較的やさしい薬は5-ASA製剤、強力なのもので短期的に使われるステロイド製剤、ステロイド剤の代わりに用いられることが多い免疫調整役、症状が悪化したときに処方される生物学的製剤/JAK阻害薬などがあります。
薬の剤型も、内服薬(経口剤)や点滴、座薬など症状によって適切なタイプが選ばれます。
潰瘍性大腸炎(UC)の最新治療方法
潰瘍性大腸炎(UC)は自己免疫疾患ですので、根本的に症状を改善するためには腸内環境を整えることが重要です。腸内には免疫細胞の70%が集中しているため、実はここに本質的な治療の鍵があるのです。
一般的な治療法は一定の効果はあるものの、根本的な改善へと導くものではない対処療法となります。よって患者さんは完治せず症状を定期的に繰り返してしまうのです。
当クリニックでは潰瘍性大腸炎に対し、全く別のアプローチとして注目される最新の「腸内フローラ治療」を行なっております。腸内フローラ研究の第一人者である陰山康成医師が、これまでにたくさんの患者さんをこの腸内フローラ治療によって根本的な改善へと導いてきました。
腸内フローラ治療とは腸内フローラ検査によってどのような腸内細菌叢、すなわちどんな菌がどのようなバランスで生息しているかを検査し、腸内環境を整えるために内服あるいは移植による乳酸菌マッチングをする治療法です。
さらに当院の治療では東洋医学も取り入れ、潰瘍性大腸炎とクローン病の方には必ず「清腸栓」という漢方座薬を処方します。上海中医薬大学付属龍華病院の秘伝の処方である清腸栓は、日本の医療機関に対し中国上海中医薬大学客員教授である陰山医師に唯一開示されております。
清腸栓による治療緩解率は非常に高い数字が出ており、さらにマッチングさせた乳酸菌の生菌を内服することで相乗効果が期待できます。さらに食事指導も行っています。
ムチン食材を最重要視し、りんごなどに含まれる水溶性食物繊維、フラクトオリゴ糖、短鎖脂肪酸誘導またはそのものの食材、4種の脂肪食材を積極的に摂っていただきます。一方、グルテン食材と30の食材を避けるようにしていただきます。
高輪クリニックでは約5年間、潰瘍性大腸炎の方に対してのこの方法での臨床を重ねてきました。マッチング生菌と清腸栓のコンビネーション治療で、症状半減以上の改善率は90%超という驚異的改善率です。
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