潰瘍性大腸炎(UC)と貧血

2020年1月18日

監修:長岡 美妃先生

現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。
その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他

明確な原因がわからず、確固たる治療法が確立されていないため厚生労働省の指定難病となっている潰瘍性大腸炎(UC)。大腸の粘膜に炎症が生じる病気で、免疫細胞が暴走し自らの腸細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患です。

原因がはっきりしないまま炎症がなかなか治まらず腸壁が傷つきただれ潰瘍やびらんが形成されてしまいます。それにより血便や下痢が続いたり、腹痛や症状が重くなると貧血といった症状があらわれますが、一般の病院での治療は薬物(5-ASA製剤、ステロイド)中心で、対処療法しかないのが現状です。

よって症状が強くなる活動期と緩和する寛解期を繰り返し、根本的な治療に繋がらず再燃がみられます。罹患期間は長期にわたることが多いため次第に精神的に追い込まれる患者さんも少なくありません。

現在日本には約18万人の潰瘍性大腸炎の罹患者が報告され、年々増加傾向にあります。発症年齢は10代後半から35歳くらいまでが多く、男女差はありません。

しかし小児や中高年が発症するケースも増えており、遺伝的要因を持つと思われる患者さんもいればストレスやライフスタイルの乱れなどが原因と考えられる患者さんもいます。

また、症状が近い病気に小腸や大腸などあらゆる消化管にも炎症が起きる難病指定の「クローン病」があります。いずれも慢性腸炎で炎症性腸疾患(IBD)に分類されます。

潰瘍性大腸炎(UC)と指定難病

厚生労働省の指定難病とは、発症の原因が明確でないため治療方法がいまだ確立しておらず、希少な病のため患者数が一定以下で長期に渡る療養を必要としている病気と定められています。

また、病状の重度によっては医療費助成の対象となります。すなわち、一時的な改善がみられても完治には至らず、再発の可能性が高い病気という認識であるため、潰瘍性大腸炎(UC)は指定難病の対象となっているのです。

一般的な病院での治療法は、薬物療法が中心ですが、あくまで対症療法であり、症状が一時的に治まったかのように見えても結局は繰り返してしまいます。

比較的軽い症状を維持することができたとしても、それは完治ではなく、病気の原因は残ったままです。同様に、病状が似ている指定難病のクローン病も完治が難しく、繰り返す病として知られています。

医療費助成を申請するには

一定以上の病状と認められ医療費を申請するには、医療機関で診断書をもらい、それを保健所などの窓口に申請します。審査によって承認されると「医療受給者証」の交付が受けられ、所得に応じた自己負担分の上限を超えた分は公費から医療費が補助されるようになります。

潰瘍性大腸炎(UC)の症状

潰瘍性大腸炎(UC)は大腸の粘膜に炎症が起き、大腸内がむくんだり腫れや痛みが生じ、またびらんや潰瘍ができたりすることで大腸の機能低下を招きます。

発熱や体重の減少もみられる病気です。下痢を繰り返し、血便や粘液の混ざった血便を伴うことが特徴で、細菌性といった明確な原因が見つからないためなかなか完治しない傾向にあります。

潰瘍性大腸炎は炎症がひどくなる「活動期」と落ち着く「寛解期」がありその繰り返しが起こります。よって、症状が治った時期を完治ではなく寛解と呼びます。

活動期の症状は肛門に近い直腸から徐々に大腸全体に広がっていくケースが一般的で、炎症が広がる範囲によって大きく3タイプに分類されます。

病型の分類

  • 直腸炎型…炎症が直腸部分のみに見られるタイプ。
  • 左側大腸炎型…炎症が大腸の左側部分にのみに見られ、脾彎曲部(ひわんきょくぶ)を超えていないタイプ。
  • 全大腸炎型…炎症が脾彎曲部(ひわんきょくぶ)を超えて大腸全体に広がっているタイプ。
  • その他、右側大腸炎型、区域性大腸炎など

右側大腸炎型、区域性大腸炎もまれにあります。

臨床的な重症度の分類においては軽症、中等症、重症の3つに分けられ、明確な診断基準があります。全体の約7割の患者さんが軽症で、重症度の患者さん以外は基本的には通院治療となります。

しかしながら、悪化や長期化することで貧血や合併症があらわれる場合があります。合併症の進行によっては手術となるケースもあります。

潰瘍性大腸炎(UC)の一般的な治療方法

潰瘍性大腸炎UC)が疑われる場合、一般的にはまず内視鏡検査ができる医療機関で診察を受け、便、血液検査も含めた精密検査を受けることから始まります。

炎症、貧血の有無や栄養状態なども細かくチェックがされるほか、大腸内視鏡検査は肛門か口から内視鏡を入れ(部位による)大腸粘膜がどのような状態であるかを観察し、その上で治療方法が検討されます。

前述の通り、潰瘍性大腸炎の治療は「活動期」と「寛解期」に合わせた2つに分けられます。

  • 寛解導入療法➖活動期の炎症を抑えて鎮静させ、症状を落ち着かせる療法。
  • 寛解維持療法➖炎症などの症状が治まり症状が消えた寛解の状態を長期に渡り維持するための療法。

潰瘍性大腸炎(UC)の薬物療法

治療薬は症状の強弱によって様々です。よく処方される比較的やさしい薬は5-ASA製剤、強力なのもので短期的に使われるステロイド製剤、ステロイド剤の代わりに用いられることが多い免疫調整役、症状が悪化したときに処方される生物学的製剤/JAK阻害薬などがあります。薬の剤型も、内服薬(経口剤)や点滴、座薬など症状によって適切なタイプが選ばれます。

潰瘍性大腸炎(UC)の手術

薬物療法では抑制できず合併症に進んだ場合には手術が必要なケースも出てきます。特に緊急を要するのは、炎症が続いて腸に膿が溜まった状態の膿傷や腸管の狭窄などによって腸が詰まる腸閉塞、大量出血、中毒性巨大結腸症、穿孔が生じているときです。

しかし症状が重篤にならない限り、寛解期には普段通りの生活ができるのも潰瘍性大腸炎の特徴です。ストレスをしっかりケアしながら、食生活に気を配り、質の良い睡眠をとるように心がけましょう。

潰瘍性大腸炎(UC)の最新治療方法

下痢や血便、粘液の混ざった血便、血性下痢、出血を伴う水溶性下痢といった症状に加え、悪化すると貧血症状や合併症などにも繋がりやすい潰瘍性大腸炎(UC)は自己免疫疾患ですので、根本的に症状を改善するためには腸内環境を整えることが重要です。

腸内には免疫細胞の70%が集中しているため、実はここに本質的な治療の鍵があるのです。

一般的な治療法は一定の効果はあるものの、根本的な改善へと導くものではない対処療法となります。よって患者さんは完治せず症状を定期的に繰り返してしまうのです。

当クリニックでは潰瘍性大腸炎に対し、全く別のアプローチとして注目される最新の「腸内フローラ治療」を行なっております。腸内フローラ研究の第一人者である陰山康成医師が、これまでにたくさんの患者さんをこの腸内フローラ治療によって根本的な改善へと導いてきました。

腸内フローラ治療とは腸内フローラ検査によってどのような腸内細菌叢、すなわちどんな菌がどのようなバランスで生息しているかを検査し、腸内環境を整えるために内服あるいは移植による乳酸菌マッチングをする治療法です。

さらに当院の治療では東洋医学も取り入れ、潰瘍性大腸炎とクローン病の方には必ず「清腸栓」という漢方座薬を処方します。上海中医薬大学付属龍華病院の秘伝の処方である清腸栓は、日本の医療機関に対し中国上海中医薬大学客員教授である陰山医師に唯一開示されております。

清腸栓による治療緩解率は非常に高い数字が出ており、さらにマッチングさせた乳酸菌の生菌を内服することで相乗効果が期待できます。

高輪クリニックでは約5年間、潰瘍性大腸炎の方に対してのこの方法での臨床を重ねてきました。マッチング生菌と清腸栓のコンビネーション治療で、症状半減以上の改善率は90%超という驚異的改善率です。

繰り返してしまう潰瘍性大腸炎の辛い症状を諦めず、快適な毎日を目指しませんか? まずは潰瘍性大腸炎の根本原因を調べる当クリニックの初回カウンセリングにお申し込みください。