潰瘍性大腸炎(UC) の年齢

2020年1月23日

監修:長岡 美妃先生

現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。
その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他

腹痛を伴う下痢や血便、血の混じった粘り気のある血便、血性下痢、発熱、体重減少などの症状が特徴の潰瘍性大腸炎(UC)は、いまだその原因が解明されておらず、また明確な治療法が確立されていません。

ゆえに厚生労働省からの指定難病の一つにもなっています。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が生じる病気で、免疫細胞が暴走し自らの腸細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患です。原因がはっきりしないまま炎症がなかなか治まらず腸壁が傷つきただれてしまいます。

それにより血便や下痢が続いたり、腹痛や貧血を起きるといった症状があらわれますが、病院での治療は薬物(5-ASA製剤、ステロイド)の服用や座薬などで炎症を抑える事が一般的治療となり、対処療法を繰り返すしかないのが現状です。

よってなかなか根本的な治療に繋がらず、次第に精神的に追い込まれる患者さんも少なくありません。日本には現在約18万人の潰瘍性大腸炎の罹患者が報告され、年々増加傾向にあります。

また、症状が近い病気に小腸や大腸などあらゆる消化管にも炎症が起きる「クローン病」があります。いずれも慢性腸炎で炎症性腸疾患(IBD)に分類されます。しかし適切な治療をすれば普通に暮らすことができる病気で、約7割の患者さんが軽症に分類されます。

潰瘍性大腸炎(UC)の原因

潰瘍性大腸炎(UC)は自己免疫疾患ですが、そのきっかけとなる原因は明確ではありません。ストレスやライフスタイルの乱れ、腸内環境の悪化、遺伝的要素などの影響とは考えられますが、引き金は人それぞれでしょう。

そもそも大腸内に炎症が起きるのは、免疫が体にとって有害なウイルスなどの病原体や壊死した細胞を排除しようとする反応です。しかしながら、過剰な反応によって、本来なら必要である腸内の常在菌や正常な細胞までも排除してしまうために症状があらわれます。

潰瘍性大腸炎は複合的な原因によって、大腸内の異常な免疫反応が引き起こされる病気と言えます。

潰瘍性大腸炎にかかりやすい年齢

発症年齢は10代後半から35歳くらいまでが多く、男女差はありません。しかし小児や中高年が発症するケースも増えています。遺伝的にかかりやすい人もいれば、ストレスや寝不足など生活のリズムの乱れ、食生活の乱れなどが考えられますが、明確な原因は不明です。

潰瘍性大腸炎(UC)の症状

潰瘍性大腸炎(UC)は大腸の粘膜に炎症が起き、大腸内がむくんだり腫れや痛みが生じ、またびらんや潰瘍ができたりすることで大腸の機能低下を招きます。

発熱や体重の減少傾向もある病気です。下痢を繰り返し、血便や粘液の混ざった血便を伴うことが特徴で、細菌性といった明確な原因が見つからないためなかなか完治しない傾向にあります。

潰瘍性大腸炎は炎症がひどくなる「活動期」と落ち着く「寛解期」がありその繰り返しが起こります。よって、症状が治った時期を完治ではなく寛解と呼びます。

活動期の症状は肛門に近い直腸から徐々に大腸全体に広がっていくケースが一般的で、炎症が広がる範囲によって大きく3タイプに分類されます。

病型の分類

  • 直腸炎型…炎症が直腸部分のみに見られるタイプ。
  • 左側大腸炎型…炎症が大腸の左側部分にのみに見られ、脾彎曲部(ひわんきょくぶ)を超えていないタイプ。
  • 全大腸炎型…炎症が脾彎曲部(ひわんきょくぶ)を超えて大腸全体に広がっているタイプ。
  • その他、右側大腸炎型、区域性大腸炎など

右側大腸炎型、区域性大腸炎もまれにあります。

臨床的重症度の分類

軽症、中等症、重症の3分類に分かれ、明確な診断基準があります。

       重症       中等症         軽症

排便回数 1日6回以上    重症と軽症の中間    1日4回以下

血便   (+++)       同上        (+)〜(−)

発熱   37.5℃以上       同上          (−)

頻脈   90/分以上        同上           (−)

貧血  Hb10g/dL以下      同上          (−)

赤沈   30mm/h 以上      同上           正常

約7割の患者さんが軽症で、重症度の患者さん以外は基本的には通院治療となります。しかしながら、悪化したり長期化することで合併症があらわれる場合があります。

合併症の進行によっては手術となるケースもあります。また、潰瘍性大腸炎は罹患して長期間が経過すると大腸ガンのリスクが高まると言われています。早期発見のためにも定期的な大腸内視鏡の検査が大切です。

潰瘍性大腸炎(UC)の一般的な治療方法

潰瘍性大腸炎UC)が疑われる場合、一般的にはまず内視鏡検査ができる医療機関で診察を受け、便、血液検査も含めた精密検査を受けることから始まります。

炎症、貧血の有無や栄養状態なども細かくチェックがされるほか、大腸内視鏡検査は肛門か口から内視鏡を入れ(部位による)大腸粘膜がどのような状態であるかを観察し、その上で治療方法が検討されます。

前述の通り、潰瘍性大腸炎の治療は「活動期」と「寛解期」に合わせた2つに分けられます。

  • 寛解導入療法➖活動期の炎症を抑えて鎮静させ、症状を落ち着かせる療法。
  • 寛解維持療法➖炎症などの症状が治まり症状が消えた寛解の状態を長期に渡り維持するための療法。

潰瘍性大腸炎(UC)の薬物療法

治療薬は症状の強弱によって様々です。よく処方される比較的やさしい薬は5-ASA製剤、強力なのもので短期的に使われるステロイド製剤、ステロイド剤の代わりに用いられることが多い免疫調整役、症状が悪化したときに処方される生物学的製剤/JAK阻害薬などがあります。

薬の剤型も、内服薬(経口剤)や点滴、座薬など症状によって適切なタイプが選ばれます。

潰瘍性大腸炎(UC)の手術

薬物療法では抑制できず合併症に進んだ場合には手術が必要なケースも出てきます。特に緊急を要するのは、炎症が続いて腸に膿が溜まった状態の膿傷や腸管の狭窄などによって腸が詰まる腸閉塞、大量出血、中毒性巨大結腸症、穿孔が生じているときです。

しかし症状が重篤にならない限り、寛解期には普段通りの生活ができるのも潰瘍性大腸炎の特徴です。ストレスをしっかりケアしながら、食生活に気を配り、質の良い睡眠をとるように心がけましょう。

潰瘍性大腸炎(UC)の最新治療方法

潰瘍性大腸炎(UC)は自己免疫疾患ですので、根本的に症状を改善するためには腸内環境を整えることが重要です。腸内には免疫細胞の70%が集中しているため、実はここに本質的な治療の鍵があるのです。

一般的な治療法は一定の効果はあるものの、根本的な改善へと導くものではない対処療法となります。よって患者さんは完治せず症状を定期的に繰り返してしまうのです。

当クリニックでは潰瘍性大腸炎に対し、全く別のアプローチとして注目される最新の「腸内フローラ治療」を行なっております。腸内フローラ研究の第一人者である陰山康成医師が、これまでにたくさんの患者さんをこの腸内フローラ治療によって根本的な改善へと導いてきました。

腸内フローラ治療とは腸内フローラ検査によってどのような腸内細菌叢、すなわちどんな菌がどのようなバランスで生息しているかを検査し、腸内環境を整えるために内服あるいは移植による乳酸菌マッチングをする治療法です。

さらに当院の治療では東洋医学も取り入れ、潰瘍性大腸炎とクローン病の方には必ず「清腸栓」という漢方座薬を処方します。上海中医薬大学付属龍華病院の秘伝の処方である清腸栓は、日本の医療機関に対し中国上海中医薬大学客員教授である陰山医師に唯一開示されております。

清腸栓による治療緩解率は非常に高い数字が出ており、さらにマッチングさせた乳酸菌の生菌を内服することで相乗効果が期待できます。

高輪クリニックでは約5年間、潰瘍性大腸炎の方に対してのこの方法での臨床を重ねてきました。マッチング生菌と清腸栓のコンビネーション治療で、症状半減以上の改善率は90%超という驚異的改善率です。

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